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全部君の思い過ごし


軍で働く女性が全員、スマートでスラッとして引き締まっている人ばかり、なんて事はただの思い込みだ。

会社のデスクワークみたい、とまでは言わないけれど、
腰掛けてモニターを見る仕事の多いオペレーター担当は気を抜けば直ぐに体がだらしなくなってしまう
私も日々、軍人として心がけ気をつけてはいるものの、気はどうしても緩んでしまうもので
同僚よりも……少し、出ているお腹を詰まんで溜息を吐いた




「……由々しき事態だわ」

「……ナマエ?何やってるの?」

「えっ!?」



誰もいなかった休憩室の入り口に、同僚が立っていた
慌てて服を正し、取り繕うように笑ってみせる



「みっ、見てたの!?」

「だって扉を開けたら見えたんだもの。怒らないで?」

「うぅ…」



同僚は笑いながら私の隣のコーヒーメーカーで手際よくコーヒーを作り出した

そんな彼女の姿を横目で盗み見る。細くスラッとした足腰。シュッと尖り気味でさえある横顔、スマートな体型。
隣に居て恥ずかしいぐらいに私と凸凹だ
同じ仕事内容をこなしていると言うのに、なぜこうも違いが出てしまうんだろう
まぁ、同僚と言っても、彼女は私より2つ上の位にいる先輩な訳だが、




「そう言えば、ねっ聞いてくれない?」

「えっ!? な、なに?」



ボーっと彼女を見ていた事がバレたのかとビックリしてしまったけど、杞憂だったみたい


聞いて、と言ってきた彼女の顔がパッと晴れやかになる。そしてそれにより、彼女がどのような類の話を持ちかけてきたのかを悟ってしまった。あぁ、これは、



「さっきね、オプティマスと少し会話することが出来たの!」

「! そ、そうなんだ…」



やっぱりそう。彼女は、我等がオートボットの総司令官であるオプティマス・プライムさんに熱い好意を寄せている。彼女から直接言われたことはないけれど、察してしまうのが女の特技だ



「ど、んな話をしたの…?」

「調整スペースで武器の点検をしてるところを見かけたから、お疲れ様!って」

「へ、へぇ…」

「≪ありがとう。貴方もお疲れ様≫って言われたわ!」

「……良かったわね、」



羨ましい。羨ましすぎてカップを持つ手が震えてしまうぐらいに

一般オペレーターである私は気兼ねなく彼らに近付く事は出来ない
まして私はとても人見知り屋で、人にも上手く話しかけられずにいるのに、
接点のない彼らに話しかけることなんて…


それを彼女はやってのけてしまうのだ。話しかけても問題のない位置にいて、気後れしない容姿を持ちつ彼女と私では、そもそも話にならないのよ



「あら、もうそろそろ時間ね」

「…あ、本当ね」

「そう言えばさっき、自分のお腹見て悩ましげに溜息吐いてたけれど、どうしたの?」

「えっ、あ、ううん。最近弛んできたかなと思って…」

「うーん、そうね…」


服の上から腹部を見られ、少し居心地が悪い



「…そうね、少し体を絞った方がいいかもしれないわ。一応軍人として相応しい身体にしておきましょ」

「…ええ、そうね」

「じゃ、先に行くわね。また頑張りましょう」

「はい」



颯爽と出て行った彼女に言われた言葉を反芻し、落ち込めも出来なかった