TF女主ログ | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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君が抱きしめてくれたら


とても大きな身体に、
見上げなければいけない位置にある顔には、
普段は凛々しい表情を浮かべている彼だが
今は私の発言のせいでどこか困ったような表情をしている
実際に、彼に大きな変化は見られないのだが、
私には彼が困惑している様子が想像出来る



《………ナマエ》
「なあにオプティマス」
《……本当にいいのか?》
「ええ」




私が彼、―オプティマス・プライムにお願いしたのだ。



「私を思いっきり抱きしめて」 と、




分かっている。彼等の力は人間以上で
どんなに屈強な男でも、彼等の手で握られれば一たまりもなく、
身体はすぐに壊れてしまうことを


それをオプティマスも知っているから、
だからこんなお願いをする私に困ったような表情を浮かべ
確認の意を取ってくるのだ


普段なら私のどんな願い事でも叶えれる限り叶えてくれる優しい彼だが、
私に危害を加えるような内容にはいつも応じてくれない

優しくて、頼もしくて、大好きなオプティマスだ
そんな彼と曲がりなりにも恋人同士という関係なのだから、
少しは恋人がやるみたいなことを2人でやってみたい



《…分かっているとは思うが、ナマエ、》
「『お前の身体では持たない』でしょ?知ってるわ」
《なら、やめるべきだ。君の身体が心配なんだ》
「その気持ちは嬉しいけど、…私だって、」




あなたに抱きしめてもらいたいわ




そう真っ直ぐ彼の目を見て伝えれば、
オプティマスは渋々と言ったようで自分の掌を差し出す。
私は慣れたようにその掌の上に上がった。
彼の顔の位置まで持ち上げられる。





《何故そこまでして抱擁に拘るんだ》



意地でもハグを諦めない私に、オプティマスもウンザリしているかもしれない
でも私にだって譲れない部分だ




「あなたと恋人同士みたいなことをやってみたいの!」
《…!ナマエ、》
「少しでいいわ…そっと、抱き寄せてくれるだけでもいい。私を抱きしめてよオプティマス」
《……分かった》




そう言って、オプティマスはそっと揺らさないように手を動かして
自分の胸部に私自身を近づけていく。
そして、冷たい金属のその身体に私をそっと押し付けた。



「…!」



背中にゆっくり、優しく回される手の感触に、
自分が想像していたよりずっと恥ずかしくなる

オプティマスの胸部に頬をくっつけて、
同じように優しくその部分を撫でる。
オプティマスが小さくきゅぃん、と起動音を鳴らしたのが分かった(動揺したときに出る彼の癖のようなものだ)



《…これでいいか?ナマエ》
「うん…充分、すぎるくらいだよ」
《そうか…良かった》



それから、
私達はしばらく抱き合っていた