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「#幼馴染」のBL小説を読む
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どこまで虜にさせる気ですか




あの欺瞞の民にウーマン型のトランスフォーマーが居たなんて、とNEST隊員のみならず、数名のオートボットも驚いていた
捕まえていたアーシー姉妹に手酷い仕打ちを無情にもやってのけていた彼等の性格を考えると信じがたい話であったが、実際にそのディセプティコンのウーマントランスフォーマーは確かに存在していたのだ。しかも




≪レノックス大佐殿、此方の乗り物は何と言うの?≫

「あ、ああ…それはバギーって言って、陸上を走る四輪走行の…」




本当にディセプティコンに所属しているのか、と疑いたくなるほどに彼女はマトモであった。和解を望んだ両軍のトップの言いつけをキチンと守り、人間達にも友好的な態度で接する彼女――ナマエは、すぐに打ち解けることが出来た。人間達の生活に興味を持ち、知識を蓄えていく様子は人間達も好印象だった



≪ナマエ、来てくれないか≫

≪あ、分かった≫



ナマエを呼びに来たグラインダー。その目は鋭く、今までナマエと話し込んでいたレノックスを睨みつけている



≪ではレノックス大佐殿、また色々と教えてくださいまし≫

「ああ。いつでもOKだぞ」

≪ありがとう≫

≪…行くぞ≫



ナマエはその他のディセプティコンの面々より一回り小さい体躯をしている。グラインダーと並んだだけでも腰の位置までしか頭は届いていない
その他に比べたら小さいナマエの身体を優しく、催促するように後ろから押していたグラインダーにナマエは僅かに不機嫌になる



≪そんなに押さなくても、歩いてるでしょ?≫

≪早く行かないと、俺が殺されるんだぞ≫







≪遅いぞナマエ≫

≪スタースクリーム、何の用?≫

≪雛達が餌を所望していた≫

≪あら、もうそんな時間なの?≫



別倉庫に隔離されて保護されているディセップの雛達の許へ向かおうと足を向けたナマエを後ろから引き止める



≪待て、行かなくていい≫

≪どうして≫

≪もう俺がやった後だからな≫

≪…それはどうも?≫


スタースクリームと共同で雛達の面倒を看ていたが、彼が雛達に餌を与えていたことは今までにはなかった。一体どういう風の吹き回しで?



≪……ナマエ、スタースクリーム、グラインダー コッチにレーザービークとラヴィッジがやって来なかったか≫

≪いや…≫

≪見てないけど…何かあったの?≫



アースモードで倉庫内を闊歩していたサウンドウェーブが悩ましげに溜息を吐き、心底困っている、と言うオーラを放つ
そのオーラに当てられないようにナマエとスタースクリーム、グラインダーは一歩身を引く



≪大切なメモリーがインプットされていたディスクを持ち去ってしまってな≫

≪あら…≫



サウンドウェーブを上司、と仰ぐ忠誠心の高い彼等が、そんなサウンドウェーブが困ってしまうようなことをするはずがないのに、とナマエは疑問に思う
不可解に思ったのはグラインダーも一緒だったようで、質問を投げかける



≪一体、そのディスクには何が保存されているんだ?≫

≪ナマエの一日の一挙一動、全ての行動パターンの統計を表したグラフだ≫

≪………それの使い道を、詳しく教えて貰おうか?≫



怒りのオーラを身に纏ったスタースクリームとグラインダーの両方から左右を挟まれても尚、サウンドウェーブは余裕の表情で困った、困った、と呟いている。だが


 ゴン!!


後ろからサウンドウェーブを殴り倒したのはショックウェーブだ
前のめりになって倒れるサウンドウェーブを踏み越えてナマエに近付く



≪無事か、ナマエ≫

≪なんにもされてないけど…≫

≪精神的な問題で、だ≫

≪…それなら、されてたけど≫



よく見れば、ショックウェーブの手にはなにやら怪しげなディスクが



≪……ショックウェーブ、まさかそれ≫

≪ああ、ラヴィッジが銜えて逃げていたからな。ドリラーに頼んで捕まえてもらった≫

≪それ、今すぐ破壊しなくちゃ≫

≪破壊してもいいが、サウンドウェーブのことだ 何百も複製しているはずだ≫



手に持っていたディスクを指で簡単に粉々にしたショックウェーブは、
グラインダーとスタースクリーム、ドリラーによって簀巻きにされているサウンドウェーブの顔を蹴り上げる



≪コピーを出せ≫

≪拒否する≫

≪ならばこのまま、簀巻きにしてメガトロンにプレゼントだ≫

≪門前払いだと思うぞ。それに俺よりナマエの方が喜ばれると思うが≫



ドリラーでギュウギュウに締め付けられているにも関わらず平然とし続けているサウンドウェーブの末が恐ろしい
戦慄を覚えたナマエに気付いたグラインダーが傍に近寄る




≪大丈夫か?≫

≪…慣れたわ≫

≪…そうか≫