あの子が、泣くんだ
ビービーと喚き散らし、
叶わぬと解っても縋り付き
私の帰りを待っているのだ
だから私は帰らねばならない
あの子の待つ場所へと、必ず
その為ならば死さえ恐れない
≪ナマエ≫
「……これはまた、ボロボロねオプティマス」
≪……すまない≫
「あちこち塗装剥げすぎだし、マスク破損しすぎだし、砂埃が関節にまで入ってて取りにくいし、」
≪…すまない≫
「…し、それ、に……っ…」
≪すまない≫
「謝らないでよ…!」
≪すまな…≫
「もう!」
叫んだ瞬間にナマエの目元の涙が飛び散った
そんなにしてまで泣いているのに、
彼女は自分が泣いていることを認めたがらないから私も言及したりしない
震える彼女の手が、私の足元の装甲から離れないのが答えだ
「……生きたり、死んだり、生き返ったり……忙しないのよあなた…!」
≪すまない≫
「あなたをメンテするこっちの…身にも、……っ!」
≪その点はラチェットに任せれば問題は…≫
「馬鹿!私があなたを治すの!察してよ!」
≪すまない≫
「もうっ!」
そんな乱暴に拭ってしまえば目が痛んでしまう
うるさいよ!
…やはり怒られてしまったか
「ボロボロで見る影もな……」
≪それでも私は君のところへ帰って来た。これだけでは、許されないだろうか≫
「…………充分なんだからぁっ!」
≪良かった≫
素直じゃない彼女が、やはりまた 泣いた