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またひとり、誰かが死んだ音がした


・ジョルト達と友達同士だった夢主がショックウェーブに憎悪を抱いて殺す話。救われない
※本編の流れと微妙に違いますのでご注意を












銃を持つ手が震える。大佐に、無理言って討伐部隊のメンバーに入れて貰ったと言うのに情けない。

しかし、すぐ其処に仇が居るのだ。
ノックアウトやエリータワン達、そしてジョルトを殺した、単眼の悪魔が、私達人間とオートボット達を探している
あの気味の悪いワーム型は見当たらない。何処かで仲間達を襲ってるのか、と考えると、頭が熱くなって目の前がパチパチと火花を散らしたような気分になる


「射撃班は此処で待機!他の奴等は俺と来い!」

「レノックス大佐!」


荷を担いで更に階段を登ろうとしている大佐に声を掛ける。足は止めないまま、大佐は顔だけ向けて私の方を見た


「何だ!」

「私は大佐の部隊に着いて行ってもよろしいですか?」

「なに?」


ランチャーを担いでいる私を見た大佐が、暫し逡巡した後に駄目だ、と首を振った



「ナマエ、お前はエップス達の班に行け」

「な、何故ですか!」

「私情を挟む奴は、連れて行けない」

「!」


置いていかれた。まあでも、しょうがない 今の私の頭は、その私情とやらで一杯だった


窓際に集まり、構えているエップス達に近付く。エップスはチラ、と私を一瞥した後、溜息を吐いた



「お前、おっかねぇ顔してるぞ」

「……どんな?」

「俺の嫁さんより酷い」

「それは…大概ね」



窓の外を見る 私の視界には、仇の姿しか見えなくなった












降下部隊が飛び降りた。合図と共に狙撃班が一斉に眼下のショックウェーブを狙って弾の雨を降らす。ランチャーは脇に置いて、手渡されたライフルでショックウェーブの目を狙う。あの赤い光が忌々しい。負の色だ。感情なんて無さそうな、無慈悲を象徴するような、気味の悪いあの赤い光。忌々しい、忌々しい、忌々しい、あの光を、消してやりたい


仲間達がショックウェーブの足元にボムを突き立てる。爆発の拍子でよろめいたショックウェーブと一瞬視線がかち合ったような気がする
兎にも角にも、その後の行動は無我夢中だった

大量の爆薬を仕込んだランチャーで、奴の目を狙って撃った。弾道は外れ、奴の胸部を貫く。バチバチと内部が溶けて千切れて行く不愉快な音が此処まで届く
エップスが「ナマエ!」と私の名前を呼んだ。気にせずに窓から飛び降りる。取っ掛かりを伝っては来たし、着地も失敗はなかったが、それでも身体が痛んだ。どうでも良かった



此処に到着するまでに、仲間達からの攻撃を受け続けていたショックウェーブが地面に横たわる。赤い目は、まだ動いていた



「…っ、忌々しい…!」


最期の瞬間のジョルトを思い出す。ほぼ即死に近かったジョルトが言った≪ナマエ、逃げろ≫と言う言葉が脳裏にこびり付いて消えない
辛くも逃げ出したあの日から、一体どれくらいの時が経ったのか、


見下ろしていたショックウェーブの口が、俄かに動く



≪……人間ンンン………≫

「……!」


直ぐに飛びずさって距離を取る。ショックウェーブの赤い目が、ギョロリと動いて私を見る


≪……あの時の、撃ち残した奴、か……≫

「……!!ショックウェーブっ…!!」

「落ち着けナマエ!!」

「嫌よ!!」


仲間の隊員が肩に手を置く。落ち着く?どうして?奴はまだ死んでない!!


「死ね!ショックウェーブ!!」



引き金を引き、ショックウェーブの眼球を撃ちぬいた。反動で後ろに倒れそうになった私を仲間が受け止める。大きな爆音と粉塵を立てて、奴の身体が跳ね上がる。忌々しい赤い光がブン、と消えた


用済みとなったランチャーを思い切りショックウェーブに投げつける。銃の方がへこんでしまった



「…はぁっ、は、…」


肩で息をしなければ、
仲間が私の肩を持って運んでくれた。遠くで大佐が此方を見ている



「ナマエ、まだ戦えるか?」

「……ええ、勿論」

「よし、なら行くぞ」



まだだ、まだ 終わってない


ジョルト 私、間違ったこと、してないよね?