(過去作品の加筆修正版)
※コミックス設定
サイバトロンとデストロンの各リーダーが互いに手を取り合い、和平協定を結んだことにより、長きに渡り繰り広げられていたビクトリー戦争は収束した。
デスザラスやレオザックらの計らいにより、デストロン巨大要塞基地の奥で匿われていたトランスフォーマーたちも漸く自由に外へ出ることが出来たと喜びを露わにしている。
デスザラスの妻であるエスメラルもその内の一人で、久方ぶりのシェルターの外での散歩に足取りを弾ませていた。
そんな彼女の隣には、護衛としてナマエが付き従っている。
≪エスメラル様、きちんと足元も見て歩きませんと、何に躓いてしまうか分かりませんよ≫
≪分かっているわ、ナマエ フフ、でもこうしてまた外を歩けるのが嬉しいの。だから多少のことは大目に見てちょうだいな≫
≪…もう、貴女に何かあれば、私がデスザラス様に怒られるのですからね≫
≪大丈夫。私がちゃんとフォローしてあげるから≫
≪きっとですよ?≫
≪ええ≫
穏やかで、優しいエスメラル様と、デスザラス様は、本当にお似合いの夫婦だなとナマエは思った。
そして次に考えたことは、ナマエの恋人である あのどうしようもない"泣き虫男"のことである。
≪………私とレオザックも、お二人のようになれるでしょうか?≫
≪まあレオザックと?ええ、お似合いだと思うわナマエ≫
≪本当ですか?≫
≪勿論! サイバトロンとの和解にも成功したのだし、きっと私達二人、幸せにしてもらえる未来が来るはずだわ≫
美しい笑顔だ。エスメラルが本当に、心の底からそう思って言っている言葉なのだと実感できる。その笑みに釣られるようにして、ナマエも固かった表情をじわじわと緩めた。実を言うと、あの日、両軍が和解したあの日から表立って曝け出しにくかった『自由になったことへの喜び』に浸りたくてたまらなかったのだ。
≪……そうですね。デスザラス様とスターセイバーの二人が治める宇宙なら、きっと平和に。…もう、戦わなくてもいいんだ。レオザックとも、ようやく落ち着いて過ごせるようになりますよね。≫
≪ナマエ? 貴女とレオザックとの結婚式には、是非私も招待してちょうだいね?≫
≪はい!≫
そして若い女性トランスフォーマーたちは、お互いの愛する者たちのことについて話に花を咲かせている。
幾ら話しても言い足りないらしい。双方の声帯モジュールの調子は万全であり、あと数時間は、彼女達の会話は続くだろう。
そして。
そんな二人の女性トランスフォーマーの姿を 物陰から窺い見ていた存在が1つ、2つ。
≪ワシ等の嫁は可愛いなぁレオザックよ≫
≪よ、嫁…… ま、まぁナマエが可愛いのは当然ですがね!≫
≪なにぃ?ワシのエスメラルの方がだぞ!≫
≪はいぃ!? 私のナマエの方ですとも!!≫
≪エスメラルだ!≫
≪ナマエです!≫
――此方も、在りし日の姿に戻ったようだ。
かくも、平和とは 素晴らしい。