「最近ローリがつめたい」
≪……そうか≫
ベース内で深刻そうな顔をしていると思って声をかけてみれば、また姉の話かこの娘は
コビーとローリの二人がお互いで過ごすことが多くなった最近、妹であるナマエをあまり省みなくなったと言う。「あの二人がイイ感じになってきたのだって最近なんだから、我慢してあげないと可哀想だよぉ!」と年下のバドに諌められてしまったからと言うもの、サイバトロンの皆が どうしたんだろ、何かあったのかな、と気遣うぐらいナマエは意気消沈していた。
たった一人の姉であったこともあったのかも知れない。べったりと付いて甘えていた相手がいきなり構ってくれなくなれば、こうなってしまうのかもな、とニトロコンボイはなるべくナマエに同調する意見を持つことにした。
≪見てられないから、お前声かけてやってくれよ≫と頼んできたエクシゲイザーのこともある手前、何の成果も得られないままスゴスゴ帰ってしまえば不評を買うだろう
≪気分転換にドライブでも行かないか?≫
「…どこにぃ?」
≪高速ハイウェイとか≫
「……それはニトロコンボイが楽しいだけでしょ」
あっさりと案を却下され、二の句が次げない自分のボキャブラリーの無さにもニトロコンボイは頭を抱えた。
スピーディアと言う今思えば狭い惑星の中でレースのことばかり日々を費やしていたせいで、人間一人のことも満足に相手してやれないとは、インチアップ辺りが見れば嘆きそうなものだ
冷たいベースの床に座り込んでしょぼくれているナマエの背中を ニトロコンボイは足先でチョンッとつついた。「?」なに?と言うように顔を上げて見上げて来たナマエに目線を合わせるようにして、膝を折りしゃがみ込んだ
≪ローリはナマエのことを嫌いになったわけじゃないだろう≫
「…それは、そうだけど…」
≪なら良いじゃないか。コビーの相手を四六時中してるわけじゃない。そろそろナマエのところにも来てくれるさ≫
だからハイウェイにドライブしに行こう。ギャラクシーコンボイの許可は貰ってあるんだ
結局そこか、と言われるような口ぶりで説明したニトロコンボイに、ようやくナマエも笑顔を見せる。「…分かった。ローリも、後でまた私に付き合ってくれるよね」笑ってくれた。その笑顔を自分が引き出したのだと思うと気分がいい。ニトロコンボイも、あぁ。と頷いて返す。
≪今は俺がいるからな。大丈夫だ≫
「うん!」