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「#幼馴染」のBL小説を読む
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空回りブラック


!64万企画小説
!どろどろと言うよりはくろいろ片思い


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結局、「副官」なんて役職は損なものだ。
皆に頼られるのは嬉しいさ。悪い気は全くしない。なるべく力になってやりたいし、力にならせてもらいたい。
けど、彼女が腕のコードを切って医務室に担ぎ込まれた場合、頼られるのは私ではない。

≪どれどれ。あぁ、これはまた派手にやったものだ≫
≪面目ないですラチェット…≫
≪まあじっとしていなさい。すぐに治してあげるから≫
≪はい≫


きっと彼女が知ったら困惑するだろう。
面倒なことを四六時中考えるめんどうな男に好かれているなんて、しかもそれを考えているのは『マイスター副官』と来たものだ。やれやれ本当に、何度も言うようだが面倒なことになっている。長らく色恋沙汰には縁がなかった。それこそ400万年ぶりだ。来る日も来る日も戦い、戦い、戦い。だがそこに一つだけ、ナマエが混ざって来てしまったんだ、仕方ないだろう?私は悪くない。いや冗談だ、いつだって恋とは先に落ちた者から愚か者になってゆくものだ。最近カーリーが教えてくれた流行のメジャーバンドが、確かこのような感じのラブソングを歌っていたな。人間は凄い。恋愛などというとてもエネルギーのいる行動を誰も彼もがやっていると言うのだから。≪マイスター≫司令官が呼んでいる。そう言えば司令官にはセイバートロン星で待つエリータワンがいらっしゃるんだ。一度相談に乗ってもらおうか、だが答えてくれるだろうか。

好きな人の周りをうろつく目障りな奴がいるのですがどうすればいいですか、なんて、そんな質問に。


※※※※※



決められた役割以上のことには首を突っ込まない方がいい。誰しも「分」と言うものがある。分相応に生きる者こそが長生きをする世の中だ。敵はなるべく、作らないのに越したことはない。医者と患者、それ以上はない。あるとすればそれは平行線上にいて、共に肩を並べるべきの「仲間」だろうか。


≪ナマエ 次にデストロン達が基地にしているであろうポイントへ偵察に向かうのだが同行してもらえるかい?≫
≪はいマイスター副官 私もお供させていただきます≫
≪ありがとう。ナマエは優秀だからな。私も楽できていいよ≫
≪もう副官?本気で言ってるのなら怒りますからね≫


どうしたことだろうか。どうにも私のスパークが苛立ち疼いて仕方がない。私は医者であるのに、自身の内部構造の状態が把握出来ていないとは、ホイルジャックが聞けば嘆かれるだろう。恐らく、彼女も困った顔をすると思う。自分のせいでラチェットの調子が悪い、なんて優しい彼女が聞けば、きっと。
≪おいラチェット?ぼーっとしないで早くリペアしてくれ≫
ああもう全く、アイアンハイドは喧しい上に空気も読めない。今はセンサーにだって感知したくないのだ。何故なら、あそこで話している二人の会話を聞き取れない。
彼女と会えるのはいつも彼女が負傷した時ばかり。なんて悲しい現実なのだろう。チップとスパイクが以前観ていた映画よりも胸を打つ悲劇になりはしないだろうか。

≪・・・い、デぇえ!!!≫
≪・・・ ああ、すまんなアイアンハイド 繋ぐケーブルを間違えたよ≫
≪間違えたで済むかぁ!!≫


…アイアンハイドにでなく、あの男にしてやればよかっただろうか?


※※※※※



ナマエは聡い女だった。
気付いている。寄せられる二対の視線に。
察せられている。その視線に込められてある意味に。
だから悩んでいる。信念を預けてあるサイバトロンの面々に、仲違いされてしまうのは良しとしたことではないと。


≪………そろそろエリータワン達のところに戻ろうかな≫


デストロンからスペースブリッジの一本や二本奪えた時にサイバトロン星へ帰還したい。
よもや、自分が援軍として地球にいるサイバトロン軍と合流してから、こんな事態になるとは予測すらしていなかった。

二人のトランスフォーマーのことに感けている場合ではない。
ナマエは、深くセイバートロン星を愛しているのだ。