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マザーライク


≪ボク、戦闘機に見えますか…?≫



「そんな受け身な姿勢だからあなたも弱気かつ陰気な性格になっちゃうんだと思う!もっと胸を張ろう!自分は世界で一番早くて強くてカッコいい戦闘機なんだってくらいのこといつも思いながら生きたってバチは当たらないのよ!いい?サンダークラッカー!自信ってのはねぇ、誰かがくれたり与えたりするものじゃないの自分自身が生み出すものなの!」

≪う、うん……ナマエがそう言うなら、や、やってみようかなぁ……≫
「いいね!何事も実践してみなくちゃそれの本質を知ることは出来ないわ!やろうって、前向きに思ったことも確かな前進になるよサンダークラッカー!」


さながらスポ根ドラマの登場人物のように、熱く拳を握り語り倒している女性の名前はナマエ

これでも一応、この気弱で根暗なトランスフォーマーの"恋人"であるのだが、その関係性は寧ろ"母親と息子"のそれに近い。

紆余曲折を経て、本人たちは至って真面目にお付き合いを始めた筈なのだが、一般的な恋人のようにラブラブしたことをするよりかは、こうしてすぐにウジウジし出すサンダークラッカーのことを「あなたはやれば出来る子なんだから!弱気になるな!」と激励するナマエの図ばかりがよく見られていた。


≪…でもさぁ、やっぱりボクって地味だよね……スカイワープみたいにテレポート能力もないし、スタースクリームのように頭だって良くないしさ……≫
「その2人がなに?だからどうしたって言うの!?誰かが持ってるものを自分は持ってないから自分は劣ってる、って考えるのは勿体無いから!私は機械の身体も空を飛ぶ翼も持ってないけどサンダークラッカーに劣ってるなんて一回も思ったことないけど!」
≪そ、それは、ナマエは強い人だから…≫
「だ、か、らぁ!何回も言ってるでしょ私!気の持ちようなんだってばそう言う問題は!あの2人にはあるのにサンダークラッカーにはなくて負けてるところは"自信"だって!」
≪自信…≫
「私はウジウジしてて陰気で気弱なサンダークラッカーのことも好きだけどね、ってことを理解した上で言ってる話なんだからね全部!一応言っておくけど!」
≪う、うん、ありがとうナマエ≫


深々とお辞儀をしたサンダークラッカーの頭を背伸びして撫でるナマエの手の力は優しいものだった。
叱りつけた後はしっかり優しさを与える。
やはり何度も考えてしまうのは、


≪ナマエはお母さんみたいだね≫
「うん、私も最近サンダークラッカーの彼女ってよりかは姉とかお母さんになったような気になるよね」


あはは。
サンダークラッカーの言葉に、デリカシーがないと怒る様子もない。
本当に本心から思っている為だった。