「…………」
『・・・・』
気まずい。目の前にいるマイクロンは確か、スタースクリームの相棒?のグリッドって子だ。体格が似ているから、目線はガッチリと合ってしまっているし、逸らす気配もない。困ったことになってしまった…
私はラッドやアレクサやカルロスとは違って、マイクロンたちの声を理解出来ない。その時点で、3人への劣等感に苛まれている私には、マイクロンという存在は少し、会いたくないタブーのような感じだった
「……ご、ごめんなさい。他の人を当たってくれ…」
『〜〜!』
「えっ…」
手を振って横を通り過ぎようとしたら、焦ったような電子音を立てられて腕を掴まれる。振りほどきたくても振りほどけない。何で、
「…どうか、したの?」
『〜〜〜』
「……分から、ない…」
何かを伝えようと頑張ってくれているのかもしれないが、私にはまったく分からない。
本当に、悔しい。あの3人が羨ましい。私も言葉を理解できたら、皆の助けにもなって、皆と交流を持てたかもしれないのに、
そう考えると哀しくなってきた。やばい、泣きそう
「……っ、ふっ……」
『〜!?〜〜!』
「ご、ごめんね…言葉も理解出来ないし、目の前で急に泣いちゃって…」
『〜〜』
首を振ってくれた。これは分かる。何処の世界でも同じような意思疎通かもしれない。気にするな、とも言ってくれたような気がする
「ありがとう…」
『〜〜〜』
「……うん、頑張って貴方を理解してみせる!」
『〜!』
涙を拭いて、グリッドをじっと見つめる。グリッドもじーっと見つめてくる。暫く、二人の世界に入っていたことは後で気付いた
「……」
『〜〜!……?…!』
「分かった!あなた、迷子になったんでしょ!」
『!〜!!』
「やったぁ!」
グリッドが何を伝えたかったのかが理解出来た。その事実が嬉しすぎてはしゃいでしまい、グリッドに抱きつく。グリッドは驚いた電子音を上げたが、打ち解けたのか同じように抱きしめ返してくれた
「……って、迷子!?」
『〜〜…』
「大変!喜んでる場合じゃないね、何処へ行こうとして迷子なの?」
『〜〜!〜〜』
「……わかんない、か。 もしかして、スタースクリームのとこ?」
『!』
「あ、良かった」
流石に何処に行きたいかまではジェスチャーでは分からなかったが、グリッドの親を探してるのか、と推測したのが正しかったみたい。
「スタースクリームかー…何処にいるんだろうねー…」
私は、皆ほどスタースクリームと仲良くしていない。いや、怖くて近寄れないと言ったところだ
ただの人間、と知られ、軽んじられるのが嫌であまり誰とも交流を持とうとしないこの性格が原因なのだが
「……」
でも、グリッドが困っている。初めて意思を理解出来たマイクロンだ
彼の困っていることだったら、なるべく力になってあげたいという思いが今は勝った
「…よし、おいでグリッド。探そう一緒に」
『〜!』
手を繋いで二人で歩く。目標は、スタースクリームだ