いつもどおり、デストロンたちの攻撃を受けて、むやみやたらに突撃してボロボロになったアイアンハイドのリペアを済ませ、助手として手伝ってくれたナマエに休もう、と声をかける。返事をしたナマエだったが、その顔は明らかに優れていなかった
≪ナマエ、君少し熱っぽくないかい?≫
ナマエを覗き込んで様子を窺う。少し頬が紅潮し、目線も定まっていない。今日会ったときはこんな様子ではなかったのだが
「え…そう言われると…何か今朝から身体がダルくて…」
自分の額に手を当ててそう言うナマエ
自分の手でもはかってみると、熱を探知した。ナマエは明らかに風邪を引いている
≪ううん、弱ったな。私は人間の身体は診ることが出来ないんだ。町の病院にまで連れていってあげよう≫
「え、大丈夫です。そんなことまでしてもらう訳には…」
≪良いんだ。散々アイアンハイドのリペアを手伝ってもらったからね、私からの恩返しだ。無碍にせず受け取ってくれ≫
「じゃあ…すみません、お世話になりますラチェット」
≪よし。じゃあ乗ってくれ≫
トランスフォームし、運転席を開ける。乗り込んできたナマエのために、空調を変えて過ごしやすい温度にする。ナマエはそれでも少しダルそうにしていた
≪もっと君は自分の体調を慮るべきだ≫
「そうですね…久々に風邪なんてひいたから、感覚を忘れちゃって」
≪やれやれ。アイアンハイドのようにはなるなよ?≫
「無茶するな、ってことですか?はい、その点はしっかりと」
≪ナマエは信頼してるからな≫
病院で風邪だと診断されたナマエを自宅にまで送り届ける
≪お大事に≫
「ありがとう、ラチェット」
≪明日には治ってるのかい?≫
「皆とは違うの…明日はまだ無理かな」
≪そうか…≫
「治ったら、すぐに会いに行きますね」
≪ああ。待っているよ≫
しかし、ナマエの風邪は思うより治らず、ナマエに会えず苛々したラチェットのリペアの腕が精巧さを欠き、リペアされた面々はたまったものではなかった