オドオドと握られているハンドルからナマエの手汗を感じて
心の中で顔を顰めた。どうしてコイツはこんなに臆病なのだろうか
半年間と言う常人に比べたら長い期間教習所へと足を運び、
ウンザリするほど免許取得のための勉強をしただろうに。
≪下手くそ。腰引くなへっぴり腰。視線キョロキョロさせんな。ブレーキ踏みすぎ≫
「う…」
≪…お前の半年間は一体なんだったんだ。よくもまぁ合格出来たもんだな≫
「…だって早く、ランボルを運転してみたかったんだもん…」
≪……… と、にかく、俺を運転させてやってんだ。何処かにぶつけたりしたら殴るからな≫
「ぶつかりそうになったらエアバック出してね…」
≪取り付けてねぇよそんなの≫
つか衝突する前に俺が俺の意思で動き止めるっての。ただでさえ、お前が「本物の車で運転するのちょっと怖いからランボルお願い!」って言って来たから渋々身体預けてやってんのに。つか今思うと"本物の車"って何だよ
≪二十歳過ぎて漸く免許取れたんだから、もっと嬉しそうにしろよな≫
「だ、だって…まだちょっと怖くて…と言うか何だか夢の中にいるみたいで…」
≪しっかりしろ!俺が傍に付いてやってるんだから、ナマエは思いっきり運転してみりゃ良いんだ!≫
「ラ、ランボルぅ…」
≪泣きべそかくんじゃねぇぞ!もういい!目標を少し変える。目的地を街中のデパートからサイバトロン基地に変更だ!≫
「えぇっ!余計に遠くなってない!?」
≪よし、やれ≫
「ちょ、ちょっと待ってー!」
ああぁあもう!早くアクセル踏め!