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やさしいうそつき



『ブラッカー!貴方、いつまでそっちにいるつもりですか!?』

≪す、すまんナマエ…だがこれも任務で…≫

『任務なのは分かってます!ですが今日で貴方が地球を離れて何日目か知ってますか?』

≪えー……10日くらい、か?≫

『34日目です!!一ヶ月もの長期任務だなんて私、出立前には聞いていませんよ!』

≪わ、悪かったナマエ……≫




いつまでブラッカーはああしているつもりなのだろうか

モニタールームに入ると、ブラッカーが恋人であるナマエにペコペコ謝っている姿があったから面白くて、観察がてらこの部屋で少し休憩しようと思ったのが約20分前
俺が来る前からああだったから、恐らくブラッカーがああしていた時間はもっと長いだろう


ブラッカーの恋人であるナマエは、これまたお淑やかで気の強い、と言う人間の女で
ブラッカーも彼女を溺愛していることを知っていたし
彼女の方もブラッカーのことを敬愛していたから
2人のこの喧嘩、と取れそうな話し合いにも焦ったりはしない


だが今回はなかなか長期戦のようだ
普段はあまり我侭を言わない彼女も、今回のブラッカーの長期滞在任務には怒り心頭のようだ。ブラッカーの奴、出立前にキチンと説明していなかったみたいだ
ナマエのことを思って言わなかった結果がこれじゃあ、アイツも報われないものだな





≪……ラスター、助けてくれねぇか≫

≪おいおい、俺に泣きつかないでくれよ≫

『ラスターさん、そんな方の肩なんて持たなくても結構ですからね!』

≪おやおや…≫



モニターの向こうのナマエはすっかりご立腹のようだ
モニターからそっぽを向いてしまったナマエにブラッカーが焦っている
見ていていい加減不憫になって来た
大切な同僚だ。助け舟の1つぐらい出してやろう。ただ、その船が座礁しても俺は責任は取らないがね



≪まぁまぁナマエ もう許してやってくれないか。君の事を想ってブラッカーも伝えなかったんだから≫

『…………私のことを想ってくださるのなら、私は話してくれた方が嬉しいですよ』

≪だ、そうだブラッカー?≫

≪すまない…これからは、ちゃんと伝えよう≫

『…本当ですか?』

≪ああ、必ず伝える。もし長期の任務に入っても、沢山連絡するぞ≫

『…分かりました。もうこの辺で折れてさし上げます』

≪ははっ、そいつは嬉しいな≫

『ただし!』



モニターを…モニターの向こう側にいるブラッカーを指差しているのであろうナマエの眼は鋭い



『またこんな事があったら、1週間家外追放です!いいですね?』

≪は…はい…≫

『はい!それじゃあブラッカー、貴方の帰りを待っておりますね。
あ、ウィングウェーバー君達や、スターセイバーさん達にもよろしくお伝え下さい。ジャン君が寂しがってましたよ、と。』

≪ああ、分かった≫

『では…』



可愛らしくウィンクをしながら、映像の中のナマエはヒラヒラと手を振った。
その後ろで、イルミナと遊んでいたのであろうジャンの姿も見える

ナマエの映像が途切れ、ブラッカーは≪いやぁ…まいったな…≫と、全く参ってなさそうな、それでいてマルチの坊や達あたりが見たら少し幻滅してしまいそうな程にデレッとした表情を見せながら上機嫌でモニタールームを退出していったのだった