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うまく、いかない


「…どうもラチェットに嫌われてる気がするんだけど」


真剣な顔してナマエが何を言うかと思えば、そんなこと
ミコは愉快そうに笑って手を振った。そんなのあり得っこないじゃない!


「どうして?最近のラチェット、アタシ達にも優しくない?」

「…そのミコが言うラチェットの優しさってのがいま一つ感じられない」

「あちゃー」


確かに、ナマエが"優しさ"を求めてるいるのなら、ラチェットの態度は少し不足している


「どうして?私、ラチェットの相棒だよね?まぁ便宜上」

「胸張って!ナマエはちゃんとれっきとしたラチェットのパートナーよ!」

「…そりゃ、バルクヘッドと良好なミコには分かんないかもしれないけどさぁ…」



ラチェットが人間にも友好的に接してくれるようになったのに明確な境界線はないが、なんとなく雰囲気が柔らかくなったのは空気的に感じ取ることが出来るのは人間の特技の一つだ。しかしどうだ。いつまで経っても自分はそれを感じられなかった。話しかけても一拍置いて≪…うぉっ!?な、なんだ?≫と大袈裟に驚き、ジャック達が出かけ、留守番を頼まれた時には訪れる微妙な沈黙。此方が話を振っても気の抜けた返事ばかり



「…私、人一倍悪いことしたっけ…?」

「どうして?ナマエはアタシ達の中でも一番良い子なのに!」

「自覚あったんだね…」

「でもこう言うのってやっぱりさぁ、本人に訊いてみるのが一番いいんじゃない?」

「えぇえ!?無理ムリむり!ムリでしょ!?」

「ムリじゃないかもしれないじゃん?さっ、学校が終わったら直行よ!」

「えー!?」



騒がしくしてたのは2人なのにその後何故かミコだけ先生に当てられていたのでそっと後ろから助け舟を出した。でも頭の中は放課後のことでいっぱいだった








「やいやいやいやいっラチェット!!」

「ミ、ミコ〜っ!」

≪な…なんだ、ナマエとミコ二人して…≫

「あなたねぇ!どーしてナマエにだけそんなに素っ気無い態度とるのよっ」

「ひ〜!言ったー!」

≪なっ…!≫



ラチェットが持っていたレンチを取り落とした。それがコンピューターの上に落ちて破損した。仕事が増えちゃったよラチェット



「なに?ラチェットはナマエのことが嫌いなわけ?」

≪なななな、そんなことはないっ!あるものか!!≫

「……」



あれ、予想外の否定的な返答に左胸の奥がキューンとした。何これ



「そうなの?もう何かわけ分かんないっ」

≪わけ分からんで結構だ!≫

「…ラチェット、貴方もしかして…」

≪な、なんだ!≫

「べっつにー? ごめんナマエ アタシばっかり喋っちゃって」

「う、ううん」

「ほらほら」

「わっ…!」

≪!≫



ミコに押され、丁度手摺の隙間から転げ落ちそうになったがすかさずラチェットの手によって受け止められる。が、



≪…っ!≫

「わぁっ!!」



何故かパッと手を放され機材の上に結局落ちることになってしまった。腰を強打して生理的な涙が一筋ツーと流れた



≪!す、すまんナマエ!こんな事するつもりでは、≫

「い、いや…」



まさか、落とされてしまうほど毛嫌いされてるとは思わなかった。成り行きで決まってしまっただけで、何か信頼感が生まれるようなエピソードも、ラチェットとナマエには無かった。他の3人は、あんなに楽しそうなのに、



「うっ…、」

≪!?≫

「ご、ごめ、なさっ…ぅ、ラチェ、…」

≪す、すまないナマエ、本当にっ…≫



泣くつもりなんてなかったのに。身体は正直だ
ラチェットまで泣きそうな顔をしている。二人して何をしているんだろう



「だ、大丈夫…ラチェットも、パート、ナーなんて、要らなかったんだよね?」

≪そ、そんなことはない!≫

「いや、ムリはしなくて…」

≪どうすればいいのか分からないのだ!!≫

「……え?」


ラチェットは跪いてもう一度両手にナマエを乗せる。今度はしっかりと、落とさないように


≪や、優しく接したいんだ。ボケがミコにするように君を気遣いたいのに、バンブルビーがラファエルにするように親しく接したいのに、アーシーがジャックに掛ける思いやりを君にもかけたいのに…む、難しくて、たまらない…≫

「  、」


言葉が出てこない。自分に言われている言葉なのかも分からない


≪…試行錯誤期間中と言うことで…今までの君への失礼な行動を、赦してはもらえないだろうか?≫



なにか、言わなきゃ ラチェットが返答を求めてきてるから



「え、と……は、い」