女であると言うことを武器にして強く生きるような女性には成れない
女と言うものは、泣き虫で、癇癪持ちで、弱く脆い 私はそれでいい
≪ナマエ≫
「…あ、アーシー クロミア、エリータワンもお帰りなさい」
≪ただいま ナマエ≫
≪元気にしてたかしら?≫
戦地からの帰還にも関わらず、オートボットの皆は軽快に挨拶を交わしてくれた
アーシー姉妹は、同じく女の身でありながら軍で働く私のような女性隊員に興味を抱いているらしく、任務の合間を縫ってはこうして会いに来てくれた
直接オートボット達と交流する機会のない私には、こうして会いに来てくれることが凄く嬉しかったりする
ただ、いきなり管制塔の窓からひょっこり顔を出されるのは、いつまで経っても慣れはしなかった
「ボディが汚れてるわね 洗車してもらわないの?」
≪今は、オシャレ好きのおチビさんの順番だからね≫
≪銀色塗装に拘り持ってる副官は、違うわ≫
「ははは…」
誰の事かぐらいは分かる。女よりも先に洗車ブースに駆け込んで行ったソルスティスの姿が容易に想像出来た
「疲れてない?」
≪平気よ≫
≪ぜんぜん?≫
≪寧ろ ナマエこそ疲れていない?≫
「私は平気だけど…」
この3人を見ていると、自分の中の「女」のあり方への認識が変わってしまうな
種族は違えど、同じ女であるこの3人は、泣いたり、怒ったり、するのかな
とてもそんな場面、想像出来ない
3人の戦っているところを直接見たわけではないけれど
≪あら、洗車の順番が回ってきたわよ≫
≪そう じゃあねナマエ≫
≪他の皆にもよろしくね≫
「う、うん!」
滑走しながら去って行った後姿を見送る。
姿が見えなくなった頃に、溜息を吐いてまた画面と向き合った