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君の声色で溶け出す心臓



≪あなたって、本当に笑わないのねラチェット!でもそう言う気難しいところ、ラチェットっぽくて素敵よ!≫




余計な口を叩く、喧しい小娘だった







パチ、とボタンを押せば基地全体の電気が点灯する
人間側から与えられたこの設備も、あれば便利だが無くても問題はない
だが、電気をつけ部屋全体が明るくなったことによって
基地に居た先人の姿が照らされた

モニターに寄りかかってアイセンサーを閉じているナマエの姿だ


≪……全く…こんな場所で、無防備にスリープモードになる奴がいるか≫


意識をシャットダウンし、スリープ状態に入っているナマエは
傍らにラチェットが立ってもその存在に気付いてはいない
床に投げ出されている四肢はピクリとも動かない

文句を言いながらも、ラチェットはナマエの、アーシーにも劣らない小さな身体を抱き上げ、治療用の寝台に横たわらせる。目覚めない




≪…………≫




同僚であるアーシーのクールな性格とは正反対に、口を開けば高飛車な言葉ばかりを言い募り振舞う明るい……少々騒々しい性格のナマエも
こうしてアイセンサーを閉じ、黙って眠っていると、こうも静かになるものなのか、とラチェットは感心した



ナマエは暫く目を覚ます様子はない
見守っていてやる理由もなかったので、ラチェットは今までナマエが寄りかかっていたモニターに近寄り電源を入れる
映し出されるグラフや皆のコンディションを確認する
オプティマス達は今は探査に向かっていた。帰還の報告はまだ受けていない


大人しく、新しい兵器の発明でもしているか、
と考えたラチェットの聴覚センサーに聞きなれた音が入ってくる




≪………――あれ、ラチェット?≫


≪……起きたのか、居眠り娘め≫

≪え、うそ。私、スリープモードに入ってた?≫

≪ぐっすりとな。普段、あれだけベラベラと話すことに力を入れているからそうなるんだ≫



ラチェットの小言も気にしないナマエは、覚醒したばかりの意識を鮮明にするように頭を2、3回小突く
寝台から軽やかに飛び降り、モニターに向かっていたラチェットに近付く



≪強制的に起こしてくれれば良かったのに!私、いつからスリープしてたんだっけ?皆が出て行った時の記憶がないんだよね≫

≪……私が入ってきた時からもうそんな状態だったんだ≫

≪それで?起こしちゃ駄目だと思ってわざわざ寝台に連れていってくれたの?ありがとーラチェット!≫

≪……モニターは今から使用する。お前さんがただ邪魔だったから、退けただけの話だ≫

≪それなら起こせば良かったし、適当なところに移動させるだけで良かったよね?こういう時にちゃんと寝台にまで連れて行ってくれるラチェット、私大好きよ!≫

≪…………≫





本当に、口やかましい小娘だ