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君の描く景色の中


最悪だ。


私の通う美大で、今期出された課題が『乗り物』のスケッチだった
正直に言うとだ、私は乗り物の模写が苦手だった。
止まっていても難しい、動いているなら尚更で
困った。本当にどうしよう 成績が…



「   あっ!!!」



そうだ。いる!いるじゃないか!!ちょうど良いモデルさんが!















≪…んモデルぅ!?≫

「そう!お願いジェイセブンっ」

≪ななななな、ななこの俺がモデルなんつー仕事やらなくちゃいけねぇんでぃ!≫

「私の為だと思って…ビークルモードのままで良いから!」




手を合わせて頭を下げてお願いするが、ジェイセブンは渋い顔のままだ
チャキチャキの江戸っ子の彼にはやはりモデルなんて言う浮ついた頼みごとは引き受けてくれないんだろうか。だとしたらしょうがない。次を当たるだけだ



「…分かった。あんまり無理は言えないね。ジェイファイブに頼んで来…」

≪ちょいと待てええぇぇえい!!≫

「!?」

≪……俺が、やる≫

「え!?」



何でこのタイミングで心変わり!?でもありがとう!



≪よし!とっとと終わらせろぃ!≫

「わ、分かった」



それから私は真面目に真剣にジェイセブンを見ながらスケッチしていたのだが、
ジェイセブンは視線に耐え切れないのか、事あるごとにジコジコと身動きを取っては
無意味な言葉を呟き続ける。あー、だのうえー、だのだー、だの




「…ジェイセブン、動かないで」

≪だっ…!ん、んなこたぁ言ったってよぉ…!≫

「そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃない」

≪いやいや恥ずかしがるっつーの!≫

「どうしてよ。いつも色んな人たちに見られてるじゃない。貴方新幹線なんだから。パンダじゃないんだから」

≪見られる人間の違いって重要なんだぜ!!≫

「え?私に見られたら恥ずかしいの?」

≪!! 忘れてくれー!!≫

「あっ、こらぁー!何処に逃げるの!!」