任務と勤務を終えてサイバトロン基地に戻ってくると、
見慣れない人間の男の姿があった。その隣にはユウキ君のお姉さんであるナマエちゃんも居る。二人は仲良さそうに談笑していた
≪あれ…?ナマエちゃん?≫
「あ、お帰りなさいマッハアラート」
二人分の視線が此方を向く。
ナマエちゃんは笑って迎えてくれたが、男の方は不思議そうに俺を眺めている
当然浮かぶ疑問だ
≪…そちらの方は?≫
「ナマエ、この人がお前が言ってたマッハアラートさん?」
「マッハアラート、こいつはナマエ。私とユウキの幼馴染で同じ高校に通ってるの」
「よろしく〜」
≪あ、ああ…≫
ニコニコと笑った顔はそこそこの美男だった。
差し出された手に戸惑いながら自分も手を重ねる。
俺と目の前の彼との握手をにこやかに見守っていたナマエちゃんが紹介する
「おバカだけど、まあまあ良いヤツなの」
「おいナマエ、どういう意味だ」
「そのままの意味でしょ?大体、アンタがサイバトロンの皆に会いたい、って言うから無理行って入らせて貰ったのに」
「そうだけどさーもうちっと紹介の仕方、ってのがあんだろ?」
≪……≫
二人は楽しそうに会話を続けている。足元で繰り広げられる会話に、俺が入れる訳も隙もなく
ただ呆然と二人の姿を見下ろしていた。するとそこへホログラム化されたアイが現れる。アイとはもうすでに挨拶を交し合っていたのか、アイと男は楽しそうに会話を始めている。ナマエちゃんは少し手持ち無沙汰そうだ
『ナマエ君、基地はどう?気に入ってくれましたか?』
「っお、おう!すっごくカッコ良いな!ナマエとユウキにだけしか知られてないとか勿体無さすぎるぜ」
『ホントに?良かった〜』
「あ、はは…」
ナマエちゃんがそれを見て何かを閃いたような顔をした。
そしてニヤニヤと悪そうな笑顔を…いや、面白いものを見つけたような顔でナマエを見る。
「……ナマエ、アンタもしかして…」
「は!?な、なんだよ」
「べっつにー?」
「〜っ笑うな!」
≪…んな…!≫
ナマエがナマエちゃんを後ろから羽交い絞めにした。
そ、そんなに密着しなくちゃいけないものなのか!?
俺には到底出来ない芸当をやってのけるナマエが羨ましすぎる。
いや、決してナマエちゃんを後ろから羽交い絞めにしたいわけではないのだがいや実を言うとうんそんなことは…
「ごめんなさい、って謝ったら放してやる」「はいはい、ごめんごめん」「誠意が足りん!」「放してよー!」「じゃあ謝れ!そして俺の気持ちに勘付くな!」「アンタ、バレバレだもん。アイちゃんは可愛い?」「だまれー!」
…って、まだやってたのか!
≪く、くそぉ…≫
「マ、マッハアラート?」
「おいアンタ大丈夫か?何か震えてんけど」
「何かあったの?マッハアラート」
心配そうに窺ってくれるナマエちゃんに、そのナマエちゃんの隣で立っているナマエの姿にもう色んな意味で俺のスパークは限界だった
≪…〜っ、なんっだかよく分からんが物凄くモヤモヤするんだっ!!!≫