・フリリク作品
・今も色褪せない 続編
そう、時たまこんな奇跡が起きるのだ
閣下の稀に見る「気紛れ」
そう、それは オプティマス・プライムとの和解後に見られるようになった、
非常に珍しい「気紛れ」
≪スタースクリーム≫
≪はい≫
≪1日だけだ≫
≪…は?…何が、で御座いましょうか≫
≪地球に滞在しても良い期間の限界だ≫
≪…!!≫
き、た
とうとう、閣下の「気紛れ」の矛先が、己の方にへと
≪あ…っ、ありがとうございます!!≫
≪…………、≫
過去嘗て無いほどに力強く返事をしてしまった
久方ぶりに地球を訪れることになった
前に訪れた時からの経年を数えると、なんと6年ぶり
ナマエの所在は掴めている。今は夢が実り、軍の研究員として働いているらしい
目的地を定め、トランスフォームし宇宙空間を滑空する
その足取りは、自分でも驚くほど軽かった
寂しくないわけではなかった
この6年間、たったの1本の連絡さえも入ってくることはなかったが、
一度も、顔を見ていないが
それでもこれまでの時間を堪えてこれたのは
別に愛の力などと言う生半可なものではなく、
NEST直属の研究員になればトランスフォーマーの彼らと、
かねてはスタースクリームとの繋がりの糸が絶たれずに済むはず、と言う浅はかな想いの強さに因るものだったのだろうと思う
おやすみ、と声を掛けた友人におやすみと返し、資料を両手に持って自室を目指す。残りは部屋でやってしまおう、と考えて、
窓から夜空に輝く星が見えたので立ち止まる
――…スタースクリーム って、意外に可愛い名前よね?発音とか
――………莫迦にしてるのか人間め
懐かしい思い出だ
感傷に浸っているヒマではない。資料を抱え直し部屋を目指す
―― 近付いて来る轟音を聞き流す。此処の基地では耳覚えがありすぎる音だ
ナマエが立ち去ったそのすぐ後に、その近くに降り立つラプターの姿
なるべく緩やかに着地したつもりだったが、それでも重みで地面が軋む
何刻か前から俺が発信していた信号に気付いていた管制塔が俄かに騒ぎ出す
擦れ違った隊員の男に「…スタースクリーム!?」と驚かれた
ナマエが生活をしていると聞いたから、この場所に真っ先に来てみたが、
これはナマエを探すのは苦労しそうだった
面倒くさかったから、通りすがった人間に訊けばいい、と思い、
時間は無駄には出来ない、とスタースクリームはすぐにナマエを探す為に動いた
「…………… スター、スクリーム…!?」
≪……ふん、漸く見つけたぞナマエ≫
2人が顔を合わせるのは、朝日が昇る前の事だった