TF女主ログ | ナノ
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いつ、どこで、だれが?





エクシリオンがメインルームに入ると、ナマエが巨大コンソールの前で手持ち無沙汰そうに立ち尽くしていた。その顔は明らかにしょぼくれており、不機嫌さが漂う。もちろん何があったのか気になったし、心配だったエクシリオンはその小さな背中を人差し指でちょいと押した。怪訝な顔をして振り返ってきたが、相手がエクシリオンだと分かるとほっと安堵の息を吐く




≪暇なんだったらさ、俺がドライブにでも連れてってやろーか!≫

「あ、エクシリオン!本当?」

≪ローリ達が出かけてて暇だったんだろ?≫


大当たりだったのか、途端にナマエの顔が面白くなさそうに落ち込む。ローリとは双子だと聞いたが、顔はまったく似ていないし、性格もローリより控え目で大人しいナマエはお淑やかな子が好きなトランスフォーマー達の間でもかなり可愛がられていた。しかし、それ以上に可愛がっている奴もいるが、それは此処では割愛しよう


「そうなの…ローリったら、私がちょっとお母さんに呼ばれて出てた時に行っちゃうんだもん…」


不満を漏らすナマエの頭を優しく撫でる。ローリにやったらおそらく「髪が乱れちゃうでしょ!」と怒られてしまうような行動でも、ナマエは擽ったそうにして笑う


≪まぁまぁ、そんな落ち込むなってナマエ。で、何処行きたいんだ?≫

「そうだねぇ……、」


ふと顔を上げたナマエの顔がエクシリオンの後ろを見て あ、と言いたげなものになる
≪?≫意味が分からずに首を傾げていたら、その首にガチャッと何か冷たいものが添えられた





≪……エクシリオン、何か言い訳はあるか…?≫

≪……ありません…≫





首筋に宛がわれたマッハショットが離れなかったので、大人しく立ち上がってナマエと距離を取る。来た。ナマエをそれ以上に可愛がっている奴が




≪すこーし…物騒すぎるんじゃないのか?ニトロコンボイ≫

≪お前は少し目を離せばこれだ。油断も隙もあったものじゃないな≫



マッハショットを漸く放して戻したのを気配で感じたので振り向く。スピーディアの赤いマッハリーダー様が憮然とした表情で睨んでいた。いつの間にそうしたのか腕には当然のように、オロオロしているナマエを腰掛させていた。どうしてだ



スピードではまだ対戦出来たかもしれないが純粋な力での勝負ではまず勝ち目はない。何と言ったってこいつは一介の惑星の王者なのだから

しかし、だからと言って軽々しくナマエを譲っても良いのかと言われたら猛反発だ




≪…それで?ニトロコンボイはナマエに何の用があったんだ?≫

≪用がなければナマエを攫ってはいけないのか?≫

≪あのな、知ってるか?人間にはな、人権って言うのが存在してだな…≫



エクシリオンがニトロコンボイにコビーたちから教わった人間世界のルールを
横暴なニトロコンボイに説いてやろうとするが、それをナマエに止められる



「私は大丈夫だよ、エクシリオン」

≪…っつってもだぞ、ナマエ?≫

「だいじょうぶ」

≪……ふーん≫

≪と、言うわけだ。潔く諦めるんだな?≫

≪……≫



こんなに素直で良い子なナマエを、ニトロコンボイにはやはり渡せない
エクシリオンはニトロコンボイに近付き、腕に座っているナマエの手を軽く掴んだ



≪まぁ、お前が幾らそんな態度してたって、ナマエと過ごす約束をしたのは俺が先だ。なぁ?ナマエ≫

「うん、そうなの…ニトロコンボイ、降ろしてくれるかな」

≪………≫



ニトロコンボイが思案している。その表情は険しく、エクシリオンを睨めつけている
いくらニトロコンボイでもナマエがお願いしているのだから断れまい。それにどう考えたって理由としては此方が強い。横槍を入れてきたのは向こうだ



≪……そうか、分かったよ≫

≪お≫

「わ」



≪俺も一緒に付いていくことにする≫

「ええ!?」

≪マジかお前!!!≫



どうしてそうなるんだスピードの王様は!!


エクシリオンの訴えも空しく、何が哀しいのか3人で出かけることになった。その後は勿論、どちらにナマエを乗せるのかで争いが起き、結局出かけるどころではなくなり、戻ってきたローリ達にナマエを取られ呆気なく終了した