超新星サラダ化企画 | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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眠らない月
………


今日もいつもの様に、売られ続けた喧嘩を買い続けたキッド船長のお陰でユースタス海賊団は思い切り暴れ通すことが出来た。

女性船長の身ながら誰よりも先に先陣を切って行くあの背中を見せられちゃあコッチだって男として、船長を慕う船員として負けてはいられなかった。
ヒートと同時に駆け出して「俺が行ってくっから!ヒートは退け!」「ナマエの方こそ引っ込んでろ!火ぃ吐く時の邪魔だ!」と肩をど突き合っていたらキラーに「何やってるの!」と怒られたわけだが



ようやく順番の空いた風呂に行こうとしたらその途中、船縁の上に腰掛けていた金髪の背中を見つける。キラーだ



「よっ、キラー」

「…あぁ、ナマエか」

「今日も大活躍だったな? あ、隣いいか?」

「いいけど…風呂へ行くんじゃなかったの?」

「ちょっとぐらいは時間押しても平気だろ」


開けてくれた空間によいしょと腰を下ろす。順番取られても知らないから、と言ったキラーに「それはそれだ」と返した。順番が後回しになってしまうのは、別にそんな重要なことじゃないから



「今日も女性陣二人して男顔負けの活躍をしてくれたみたいだな」

「そうね。貴方がヒートと小競り合いしてる間にね」

「や、違くて。あいつが突っ掛かってくんだよ」

「…どう見ても貴方の方から…… いえ、まあ良いわ。どっちでも詮無きことよ」


――まったく、羨ましい


マスクの下で呟かれた言葉は俺の耳に届いていた。えっ、と少し焦り気味に聞き返す。



「…キラーって、ヒートが好きだったりした?」

「……どうしてそうなるの。違うわよ」



金髪のウェービーロングヘアーをゆらりと揺らしながら、キラーは綺麗に頭を振った。
そのちょっとした仕草があんまりにも綺麗だから見惚れてしまう。良かった、安心した。キラーはヒートが好きで羨ましいと言ったんじゃなかった。



「……じゃあ、何が"羨ましい"んだ?」



キラーの顔が、俺の方へ向く。
マスクで隠れているその顔には、どんな表情があるんだろうか



「…………鈍感」



キラーは肩を竦めて、 笑って見せた。





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