ノイジーガール
………
「ポロロローン」
「……」
「ラララポロポロピャー」
「………」
「カラコロコロ」
「……うるッッッせぇよこのクソ女ァア!!ちったぁ静かにしてやがれ眠れねぇだろうが!!」
「はぁ!? 何よアンタこそやっかましいじゃないのよナマエー!!」ジャジャジャジャーン!
「てっめぇにそんな事言われる筋合いねぇー!!何なんだよお前!なんで歯ぁ磨いて顔洗ってるだけでんなに楽しそうな音垂れ流せるんだよ!この妙ちくりんがァ!」
「なにー!?それが拾ってやった船長に対して言う言葉!? 大体ナマエこそもう昼過ぎだってのに何時まで眠ってるつもりなのよ!起きろ!働け!」トンカラコロコロポーン!ポーン!
「お前怒ってる時まで喧しい!!!」
ナマエはアプー船長に拾われてからと言うもの、すっかりこんな性格になってしまっていた。
おかしい、と船員達は首を捻り昔を思い出す。
空飛ぶ島でナマエと出会い船に向かえた時には 内向的で卑屈な感じだったのに。
体を動かすたびにその部位から音が鳴る。それがアプー船長の持ち味と言うべきものだ。それを承知しているのは当初から乗船していたクルーのみならず、この船に乗って日は浅くないナマエだって知っているだろうに、毎朝あんな感じだ。 いや、毎昼、と言うべきか。
まあナマエの方がどうかは知らないが、アプー船長の方は確実にナマエをからかっている。
でなければ毎日毎日、わざわざナマエに割り当てられた部屋に備え付けられている洗面台で顔を洗いに来ないだろう
「全然起きないナマエの為にあたいが爽やかかつ軽やかな音色で起こしてあげよーとしてんでしょーが!むしろ感謝するべきよ!」
「ちっともしたくねぇ…! 俺は!低血圧!なんだぞ!」
「そこわざわざ怒鳴ってまで言うべきこと!?」
二人の口論の間にも、部屋からはアプー船長自身の音やナマエがキャンキャンと吠え立てている声が聞こえている。
そろそろ誰か止めて来いよ、と相談し始める頃合か。
「ナマエってホントにポロロローン!」「肝心の部分が掻き消されてんじゃねぇか!!」……いや、もう暫く放置してても良いかも知れない。面白いから
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