愛食い
………
これ以上近付けば食べられてしまう。でももっと近付きたい。近付きたくて堪らない。
ナマエはドキドキと鎮まりを隠しもしない心臓を曝け出してしまいたい気分だった。
だって目の前には愛してやまないボニー船長がいらっしゃる。じっと、寝台の上から、私のことを見ている。私の全てをだ。私の髪。私の顔。私の目。耳。鼻。口。首。鎖骨。胸。肩。腕。手。腹。股。足。全てを見られている。"食物"として。これでもかってくらいに。
ええ、何も遠慮なされることはありませんよボニー船長。私の体の全ては船長に捧げてある身。甘いだけしか取り得のない体ではありますが、船長を満足させる自信なら十二分にありましょう。さあ、どうぞ。お食べくださいわたしのからだ
「………ナマエ」
「はいボニー船長」
「…おれに 食われたいか?」
「はい勿論です船長」
「…お前のカラダは、美味いもんなぁ?」
「ありがとうございます船長」
「ならよ、今お前の体には、"美味しくねぇもん"がまだあるよな?」
――ああ、本当だ。失念していました申し訳ありません船長。
――確かにコレは、美味しくないですね
ナマエは着ていた服に指をかける。
さあ、この"食べられない美味しくないもの"を外せば、待っているのは"愛される私"だけです
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