30万企画小説 | ナノ
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


▼ 殺しリスト殿堂入り


※CP候補生時代捏造




悪魔の実を誤って食べてしまった子どもがいれば、その子どもが将来海賊の道を歩んでしまわないように監視…保護すると言う名目の元、たくさんの子ども達がエニエスロビーに集められる。そして海軍本部や支部等では受け持たない、暗殺集団になるための訓練を此処で何年にも渡って受けることになる。 最初は誰も彼もが困惑し、家に帰せ、お母さんに会わせて、と上官の男に懇願するが、その望みが叶えられる事は無いに等しい。唯一親元に帰れるようになるのは、死亡した際に遺骨や遺品だけが送られる時だけ。「それでも良ければ、今すぐにでも送ってやろう」未成年の子どもは脅してきた上官に対してここで初めて"畏怖"の念を抱く。そうして上の者に抵抗してはいけないと言うことを覚え、生きる為に、死なない為にここでの暮らしを始めるのだ。







さて、此処にいるジャブラと言う少年
彼は、強制的に連行されてきた子ども達とは違い自らの意思で政府機関への加入を志した変わり者だった。 悪魔の実を食べたのも勿論承知の上 彼の暮らしていた集落…と言うより部族は、独自の文化と戦い方をする民族集団だった。自らの素手を至高の武器とし、野生動物のような俊敏さと力強さを併せ持ってこそ真の男であると彼の父親である部族長は言う。これを食せ、と差し出されたのが悪魔の実であり、ジャブラ自身も何の迷いもなくそれを口にした。強くなりたかったからだ。

周りで「帰りたい」「両親に会いたい」と夜な夜な枕を濡らしている同類たちを冷めた目で見るジャブラにとって、彼らは格下でしかない。曲がりなりにも同じ肩を並べている者として恥ずかしいとさえ思う。
(早くあいつら、死ぬか脱走するかしてリタイアしねーかなー)そうすりゃ自室を広々と使えるのに

体の筋を伸ばしながらエニエスロビーの宿舎までの道のりを歩く。今日の訓練はまあまあしんどかった。滝つぼから500回落とされて這い上がって来るだけの淡々とした苦行のような訓練内容はままあることだが、隣の壁を這い上がっていた奴が手を滑らせて落ちそうになった時、ジャブラの足を引っつかんで来たことがあった。「おい!!」あの時は一緒に滝壺の中へ沈んで行きそうになったが、何とかジャブラだけ助かった。それと言うのも、頼んでもないのに手を貸して来た奴がいたせいであれぐらいのことなら助けて貰わずともどうにかなったのに、



「ナマエの野郎…!!」

「呼んだか?」

「どぅおわぁっ!? ―あ!?」



うはは、やっぱビビった
いきなり背後から声をかけ、振り返ったジャブラの左頬に人差し指をぶすりと突き立てる。典型的なひっかけに、ジャブラはイライラして来た。 どうしてコイツの存在にいつも気が付けないんだ。いつの間にかすぐ後ろに立たれてるし、こいつが暗殺を企ててんなら間違いなく殺される。 ジャブラの胸中など知りもしないナマエは、「怪我ぁちゃんと診てもらったか?」と昼間の心配をしてきた



「大した怪我なんかしてねーよ!お陰サンでなァ!」
「だろーなー。俺の一瞬の判断、惚れただろー?」
「バッッカじゃねぇのかテメェは!!」



落ちて行くジャブラの手を咄嗟に掴んで引き摺りあげたナマエと、更にそのナマエの手を掴んでいたのがルッチで、ジャブラのプライドはズタボロだった。
隣の男のミスに巻き込まれただけなのに、これが本当の生き恥と言う奴か。
あれからルッチは何も言って来ないが(普段からジャブラとの交流をあまり取りたがらない奴だ)、ナマエは違う。常日頃からジャブラに対してちょっかいをかけてくるし、馴れ馴れしく話しかけて来るから、きっと今回も何か言ってくんだろうと思っていれば案の定だ。



「…んだよ!恩でも押し付けて借りでも作った気分か!」
「ん?そんなつもりなかったんだけど、ジャブラが良いなら"借り"扱いさせてもらうけど?」
「駄目に決まってんだ狼牙!」



廊下中にジャブラの叫び声が響き渡った。「うはは、だよなー」いくらジャブラが吠えてもナマエは気にしない。ヘラヘラと笑うだけで次の言葉は言って来ない。ナマエがもう少し踏み込んでジャブラを詰れば、ジャブラも苛立ちを理由に正面からナマエをボコボコに出来るのに、確信的な後一歩をしないのがこいつの計算高いところだ
「まー怪我してねぇんならいいよー」と言ったナマエはジャブラに背を向けて一人宿舎の方へと歩いて行く。「お、おいこら待ちやがれ!」まだ訊いていないことがある。ナマエの肩を掴んで引き止めれば、「…うわ ジャブラが俺に触ったの初めてじゃね?」等と筋違いなことを話す。そうじゃねぇだ狼牙!と叫んで、気になっていたことを問い質す



「どうしておれを助けたりなんかしたんだよ」



どう言うつもりでナマエがジャブラをからかってくるのかは知らないが、ジャブラはナマエが自分を嫌っているから揶揄してくるのだと思っている。

だからあの時見捨てておけば、ナマエの前からジャブラは消えて万歳ではないか。

ジャブラは真面目に理由を知りたかった。ろくでもないことだったらどうするよ、と心の中でグルグル考えを巡らせる。
しかしナマエは、あっけらかんと笑って、ジャブラが一番聞きたくなかった理由を述べた。



「だって俺、ジャブラのこと大好きだし」








「死んどけええええええええええええ!!!」

「うはは、嫌だ」

「なら殺す!ぜってーテメェはいつかおれが殺す!!」

「理由も無い仲間殺しは罰則扱いだぞー」

「理由ならある!おれはお前が嫌いだから殺す!」

「うはは、フラれたー」



「ナマエ、それに駄犬 早く部屋に入らないと教官に怒られるぞ」


「ルッチてめぇもいつか殺す!!」

「…何のことだ 鬱陶しい犬め」

「黙れ仔猫ちゃんのくせによォ」

「…………ころ「あールッチー落ち着けー。おしおし、寝ようなー。じゃあなジャブラまた明日ー」

「っ、待ちやがれナマエ! あっクソ!」



鍵掛けやがった!

ルッチとナマエが共同で眠る部屋の扉を蹴ったジャブラは、
興奮冷めやらぬままに隣の自分の部屋の扉を開けた。同室にいた男はご立腹状態で帰ってきたジャブラにいちいちビクビクしていて、それにも苛立ちがこみ上げる。
それに、イライラした気分の時にあいつらと部屋が隣同士であると言う事実を思い出すと余計に腹が立って来た