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▼ それでもきみを幸せにしたいのだ


少しは眠ったらどうだ――俺からの有り難い提言にもレーザーウェーブは≪いや、いい≫と無愛想に応えるだけでメインコンソールから眼を逸らさない。まったく、一つしか眼がないくせにセイバートロン全域を監視という大役を任されているお前らしい言い分だなレーザーウェーブ そんなレーザーウェーブにメガトロン様が俺を監視役として就かせたのは素晴らしい采配だったんだろう。さっすがメガトロン様だ。一生ついて行きます



≪ナマエ バカなことを考えていないでジェットロン部隊でも率いてサイバトロン基地に襲撃でもかけて来い≫

≪あ、またお前、俺の回線盗み見たろ≫

≪しなくともお前の考えてることなど手に取るように分かる。ナマエが単純な奴で助かってるさ≫


嬉しいことを言われたような気がして、≪はは だろ?≫と軽口でも叩いてやろうかと思ったが、レーザーウェーブはもう画面に夢中になっていた。

サイバトロン達の通信回路をハックし、レーザーウェーブの持ってる色んな周波数をもって奴らの妨害をしている。サイバトロンは面倒な奴らだ。穏健派閥だった名残らしく、一人一人の個体は然したる力を持っていないくせに、仲間と協力をするといつの間にか力をつけ立ち向かってくるのだから。羽虫より鬱陶しい奴らだ



≪…サイバトロンの捕虜、何人ぐらい捕まえてきたら俺を褒めてくれるんだ?≫

≪回線にショートでも起こしたか?莫迦なことは言ってないで……≫

≪これぐらい良いだろ。たった二人っきりの基地任務なんだから。なあ答えてくれよレーザーウェーブ≫



無駄な問答を嫌うレーザーウェーブを困らせている自覚はあったが、でも最終的にこいつはちゃんと…


≪…そうだな。5人捕らえてきたら花丸でもやろう≫

≪おおマジか、余裕じゃねーか!生死問わずだろ?≫

≪なるべく生かして連れて帰って来い。メモリーが生きていれば奴らの基地の内部構造なんかが調べられるかも知れないからな≫

≪よっしゃ分かった任せとけレーザーウェーブ ――おい、サンストーム!来い!サイバトロン捕獲作戦の開始だぞー!!≫



本当に騒がしい奴だ、ナマエと言う戦士は。もうそんなに若くもなく、既に何百万年も共にこのセイバートロンで留守を任されていた者同士だと言うのに、何をそれ程まで喜ぶ理由があるのか。

レーザーウェーブは点検と称して度々ナマエのメモリーを垣間見ることがあった。しかし奴の脳内を占拠しているデータは、ほぼレーザーウェーブに関することで埋もれている。


"好かれている"のだと理解はしているが、レーザーウェーブにはよく分からない事項であるので放置していた。
きっとそれを指摘してやらなくとも、ナマエの方から向かってくるのだから。
精々自分とメガトロン様の為になるよう働いてくれていれば、レーザーウェーブはそれで良いと思っている。


己が座右の銘により、今暫くナマエの観察をすることにしよう
――それは、四百万年よりも前から続いていた