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▼ 死んでしまえよビーム


もう駄目だ。俺のライフはただ今をもってゼロとなった。回復魔法も宿屋で就寝もない。精神力が切れればそこで終了。それが人生だ。僧侶もナースも今の俺には必要ない。俺はほとほと愛想が尽き果てていた。確か入隊当初は正義を掲げ悪を滅ぼさんと熱い志を持っていたような気がするがそれは過去の話だ。絵空事だった。いや、俺が配属された部隊が『だらけきった正義』なんてスローガンをかかげる隊だったのが全ての悪の始まりだったのだ。書いてはいやもう少し頑張ろう、書いてはあと少し頑張ればきっと報われる、書いては破ってを繰り返してきた辞表を、破らない日がきた。デモもストライキも出来ないならストレス発散ぐらいさせてくれ。いや、する。我慢の限界が来た。仲間は引き連れない。自滅するなら俺一人でやってやる!積み上げられる書類、いない上司、尻拭いに駆け回る日々、トンズラこく上司、貰えない判子、いない上司、終わらない庶務作業、トンズラこく上司、下りない残業代、ぐうたらな上司!!!





「あれ?ナマエ、物凄い形相だけどどうし…「チェストぉぉおおおおおおお!!!!」あいたー!!?」



や っ て や っ た 



「な……なに、すんの……ナマエ…」
「鼻フック背負い投げですよクザンさん」
「いや……りゆう……」
「理由? はあ、理由っすか。わかんねっすかクザンさん。あはは」



横たわる脇腹に足蹴りでも食らわせてやろうかと思ったがさすがにそれはやらない。クザンさんを引き倒せただけで割りと発散できた。ふっふっふ、ともう笑いが止まらない。俺は遂にやったのだ。上司であるクザンさんに、積年の恨みをぶつけることが!!


「もう俺いつ辞めてもいー!!」
「えちょ、そんなの困るんだけどナマエがいなくなったら」
「はい?え、待ってくださいよクザンさん。この期に及んでまだ俺を欲しがりますか!欲張りさんの人使い荒いお方だ!お願い眠ってくださいクザンさん!!」
「どうしたのナマエ…なんかキャラ変わってない?」


キャラが変わってるですって?ええ変わりましたともさ。貴方の下に就いた頃みたいな謹直真面目ナマエ君は新世界の海に落ち棄ててきました!いません貴方が描いてる俺は!ずっと!ぐうたらで不真面目で『やる時はやってくれる格好イイ人☆』=『日常はクズ人間』な貴方の下で今日びまで弱音零さず頑張ってきた俺を解放したんですよ!!


「さあクザンさん今すぐ俺をセンゴク殿のところへ突き出してください。そしてそこで言ってください。"この男はあろうことか上司に向かって鼻フック背負い投げをしましたこんな男はもう部下にいりませんすぐに民間に送ってください"と!!」
「だから嫌だってば…ナマエみたいに頼りになる馬車馬…じゃなかった人材を手放せないよ」
「馬車馬!?いま馬車馬って言いましたね!?やっぱりそう思ってたんですねクザンさん!よもや、まさかと思ってた結果がこの仕打ち!いや!辞める!もう今すぐに辞めてやります!!」

「ならウチに来るかい?ナマエ〜」

「ボホッ!ボボボボルサリーノ殿!?」



当然ですけどみたいな顔ですぐ後ろにボルサリーノ殿が立ってらしたのですがこれは。
「やあナマエ」といつもの様に間延びした声で挨拶されたので一応まだ海兵な俺は「ご苦労様です黄猿殿」って挨拶し返しといた。いや待てそれよりも今この人なんてった?


「クザンのところが嫌になったんならわっしの所に異動すればいいよねぇ」
「え いや、あのですね。誠に恐縮なんですが俺はもう海軍を辞めるつもりで…」
「いいよねぇ、ナマエみたいな働きアリ…じゃなくて働き者がいたら楽チンになるだろうねぇ」
「この人も俺のこと人間呼ばわりしてない!!なにこれ海軍てとんだブラック企業だよ!」
「政府公認の軍事施設だから企業じゃないよねぇ」
「正論は聞きたくないです!てか嫌ですからね俺!」
「そうだよ黄猿さん。ナマエはおれの部下なんですから」
「嬉しくない嬉しくない嬉しくない嬉しくな」

「何じゃいクザンとボルサリーノにナマエ!三人仲良く廊下でサボりか?ガッハッハ!ところでナマエわしの部下に来ないか?」


「なんか変な幻聴が聞こえて来ました!!!」
「今なら真面目なコビーとヘルメッポもついて来るぞ!仲間じゃ、嬉しいじゃろう!」
「………駄目だだめだ俺誘惑に負けそうになるな釣られるな罠だこれは」
「哀れだのう。すっかり海兵不審になっておる」
「クザンのせいだよねぇ〜」
「まぁ…否定は出来ませんわな」



すっかり計画と違う想定していなかった展開に縺れ込んで来た。てっきりクザンさんをやれば直ぐに辞められると思ったのに、新手が次々出てきた。怖い。もういやだ

一番態度を改めるべきなクザンさんが「あ、じゃあさ」と手を打った。なんですか。辞表受け取ってくれますか



「スモーカーんとこに行けば良いんじゃない?そしたらスモーカーはおれの部下だからナマエはおれの部下の部下ってことに……」

「嫌だああああああああああああああああああああああああ」




辞めさせてもらえたら!!!俺は!!!それで!!!良いんです!!!よ!!!!