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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ ですってよ


「きっかけと言えばローが学校一のマドンナちゃんに告白されてる現場を見ちゃって焦ったからですよね」


モテる幼馴染を持っているとは言え、今までの女の子の何十倍も可愛い子だったからさー。


暗に今までの女は皆ブスとでも言うような口ぶりを見せるナマエに、ペンギンは「…はぁ」と相槌のような、嘆息のような声を漏らした。
――えっと…じゃあ何?決め手って、それだけ? もっとちゃんとした理由があるのかと予想していたのに、全然そんなことはなかった。 そうだなーと間延びした返事をするナマエはペンギンの尋問に飽きたのか、キョロキョロと辺りに目を配せて 話の中心になっているもう一人の存在、トラファルガー・ローの姿を探している。
お目当ての人物は今シャチの方に同じ質問をされている筈だ。返って来る答えは違うだろうが、きっとシャチも「は?」と困惑で返しているに違いない。



「…え、恋人になるってのはその、二人とも同意の上で?」

「うーん……まあ障害はなかったよなぁ。ローってちっちゃぇ頃から俺んこと大好きだし」

「……おれさ、ナマエのそう言う自信満々にドヤ顔するとこケッコー好きだわ」

「さんきゅう 俺はローが好きだ」



昨日まで幼馴染と言う関係性だった二人が今日――厳密に言えば昨日の放課後かららしいが――から"恋人になった"なんて聞かされたら友人として興味を惹かれるのは当然だ。
今までグダグダ絡みあっていた二人を「おいイチャイチャすんなって(笑)」と茶化せていたのが、それがやり辛くなるではないか!



「 あ、ロー〜 そっちの尋問終わったのか?」

「おう ナマエはペンギンに訊かれてたんだな」
「うん」

「待ていナマエ! まだこっちは終わってねぇぞ!」
「え、まだ何か言わなきゃいけないことあんの?」


なんだよもー。 浮かしかけていた腰を再度椅子に下ろしたナマエから非難の声が上がる。ナマエの隣に座ったローも、なにやら醸し出している雰囲気が昨日と全然違う気がした。それはこの事実を聞いた後だからこそ思うことだろうか。


教室の戸口の陰に、どよーんとした様子のシャチが顔を出した。口パクで「ガチもんや」と伝えてくる。やっぱりか…



「…あ、別にな? 二人を祝福しないってわけじゃないんだぞ? 突然だったからビックリこいてるだけで…」

「うーん…そんなビックリするようなことか? 俺ちょっとよく分からん」

「……じゃあナマエ訊くけどな おれとシャチがもし……」

「………」

「………やっぱり止めようこの話は」

「そうか」



想像しただけであかん奴だった。
ナマエはふーん、と興味がなさそうである。想像し損だったと言うわけか?
隣にローさんがいなければ殴ってたぞ



「まあ安心しろってペンギン」


椅子の上でふんぞり返ったナマエが言う。



「? 何にだよ」


「俺は間違いなくローを幸せにすっからな」




前にいたローさんから『キュン』って言う音が聞こえて来たような気がしたけど多分空耳。現実には聞こえて来ない音だからこういうのって。でも机の上に出されてたタトゥー混じりの手がモジモジ動かされてるから、反応見なくても照れてんだろうなってのは分かった。 だっておよそ関係ないおれでさえ照れた