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▼ 未来計画案


サッチのアレを"過保魚"と名付けよう。読み方は"かほぎょ"だ。 自分ではなかなか上手いこと言ったつもりなんだが反応はどうだろう?海中を泳いでいる己の妻を船縁から まあニッコニッコと見つめている姿は同世代の男として恥ずかしいやら羨ましいやらと言った感じだ。


先月、我等が白ひげ海賊団の一員として仲間入りを果たした人魚のナマエ
彼女は普段、サッチの要望で甲板で過ごしているから日照が強いと体調が悪くなってしまうらしい。だからああして、日に何度か水中を泳いで身体に潤いを与えているのだ。甲斐甲斐しいことだと思う。本来なら人魚はなるべく地上にいない方がいいだろうに、我侭で甘えたがりなサッチに付き合ってわざわざ陸に上がって来てくれているのだから。



「見てて辛いモンがあるよい」
「なら見なきゃイイんじゃねぇか?」
「どうしても目の端に入って来るだけだい」



そう、映りこんでくるあの二人がいけないんだ。おれは悪くないから









ナマエのおへそ周りには痛々しい裂傷がある。だいぶ目立たなくなっては来ていたが、女性として考えるなら悲しいものだろう。


「大丈夫よサッチさん だってこれは、私の勲章だもの」


――サッチさんを護って出来た傷だから、勲章
考え方が変わっているな、と微笑めた自分をサッチは褒めてやりたい。自分の女である存在に傷を負わせてしまったことは、一生のこととして覚えているだろう。
ティーチが仲間を裏切り殺そうとしたことなんて、今思っても信じられない出来事だった。ましてやサッチは、殺されそうになった当事者である。オヤジの怒りに触れたティーチの身柄は拘束され、誰の目と触れない場所へ連れて行かれたようだ。クルーの間の噂話では既に海賊の掟に則って処刑されたらしいとも言われているが、真偽の程は定かではない。


「うーん…でも本当に、もう大丈夫なのか? まだチクチク痛むとかねぇのかよ」
「本当に平気よ 違和感も感じないし」
「そうか? でも中の器官とかは?内臓的なものは?」


矢継ぎ早に質問を浴びせるサッチにナマエはふふふと溜まらず笑った。
こんな風に誰かから"心配"をされるのは久しぶりだったからだ。
ほんっとうに平気、と言えばようやく安心してくれる



「心身共に問題ないから ね?」
「…ちゃんと子どもも生めるか?」
「うん、子どももちゃんと……  子ども!!?」



驚いて聞き返したナマエにサッチは満面の笑みで「だっておれ、ナマエとの子ども欲しいんだ!」と答えた。ナマエは慌てる。人魚と人間との間に子どもが出来るのは何となく聞いてはいたが、いざ自分の身にもソレが降りかかるとなるとどうすれば良いのかは全然分からない。
そもそもナニがどうなって、……



「い、今は海賊稼業に集中してください!!!」
「おう!それは大前提としてだな、やっぱいつかは家庭を持って子沢山の家族に…」
「わあああああ! ストップ!何だか恥ずかしいからストップしてくださいサッチさん!!」
「え?」



やっぱりおかしい! 現代人だった自分と、この世界の人間とでは そう言う物の考え方も違ってくるのかな!? だって普通、人魚との子どもだなんて考えないよね!?

頭の中をクエスチョンマークで一杯にして、考えを巡らせているナマエとは裏腹に、
サッチは「やっぱ一姫二太郎で…」とやけに現実的なプランを練りつつ出来れば女の子はナマエに似て欲しいと言って更に彼女を困らせていた。









「サッチが子どもが欲しいんだってよ」
「…それ誰から聞いたんだ?」
「ナマエから相談された船医から聞いたナースから聞いた」
「……どうりで最近妙に浮かれてやがると思ったら」


船医が真面目な顔して「僕の技術だけでどうにか出来るだろうか」って言ってたのもそのせいかよい