20万企画小説 | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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「俺はイヤだっつったじゃん」
「だからおれも"ふーん、あっそ"って答えただろ」
「二言で否定しての結果がコレだろ?マジでペンギンの低脳さにはイライラする。前世からやり直せ」
「おれこの間街の占い屋に前世占いしてもらったんだけどよ」
「は?で?」
「おれの前世は某王国の王様だったらしい」
「…どうせその国滅亡したんだろ?お疲れさん。ペンギンだもんな」
「うっせーなナマエ 今度お前が寝てる間に腕にニンニク注射すっぞ」
「死ね」
「ナマエが10回死ね」
「ペンギンが100回死ね」
「ナマエがおれのプラス1死ね」





買出し中の二人がする口論の大きさにより、街の者達の注目をこれでもかと集めていた。
喧嘩の原因は今朝の買出し班決めの時のことだ。普段はシャチとベポと三人で買出しをするのだが、今回は他の二人が病気を患ってしまい目下絶対安静中だった。「しょうがねぇな…ペンギン一人じゃ荷が重いだろ。誰か適当に暇してる奴見つけて行け」とローから言われたペンギンが選んだのが甲板の掃除をしていたナマエだったのが事の始まり。ナマエとペンギン、顔を合わせばいがみ合う二人は精神の根っこの方からソリが合わない、と言うのはハートの海賊団員全てが周知していることだ。選ばれたナマエの方も驚きが怒りに変わり「…んでお前と二人で買出しなんだよ!!」「一番暇そうにしてたからだ!!」と胸倉を掴み合ってギャンと吠えていたが、騒ぎが耳障りだったローの鶴の一声によりこうして渋々出かけたのだった。



「…お前さぁ、俺がお前のこと嫌ってんのまさか知らないわけじゃねぇよな?」
「ナマエこそ、おれがお前のこと親の仇のように思ってること理解してるか?」
「喋り方も顔つきも仕草も全部ムカつくんだよお前。視界に入ってくんな」
「おれだってお前の戦闘スタイルとか言葉遣いとかだいっきらい。息するな」






なら何で買出し誘ったんだよ!! 荷物を放り投げそうになったナマエの姿にペンギンはフゥと溜息を吐いた。その仕草も余計にナマエをイライラとさせている。いつ見ても、ペンギンのその気取った態度が気に入らない。格好つけか、と言いたくなるぐらいだ。他のクルーと話している姿を見ても、ペンギンは一人、大人びた風を装っている。本当のお前はもっと口が悪くて粗野なくせに。ナマエの鳥肌が総立ちする勢いで ムカつく、スカした奴  ナマエはペンギンがだいきらいだった   (が、ナマエはペンギンがきになってしかたがない)





別に好き好んでお前を選んだわけじゃねぇよ! 荷物の中身をぶつけてやらんばかりにナマエに突っ掛かったペンギンは青筋を立てる。いつ話しても、ナマエは口が悪く素直じゃない。他のクルーと話をしている時には乱暴ながらも気遣うような言葉をかけるくせに、相手がペンギンとなればそれらの言葉が途端に罵詈雑言に変わるのが許せない。餓鬼のような態度を振舞って、見ていると苛々が収まらないのだ。 腹は立つし、顔も見たくない ペンギンはナマエがだいきらいだった    (が、ペンギンはナマエのことからめがはなせない)




「あああマジでお前と話してっと疲れる!もう今後一切俺と買出しとか提案すんな!」
「おうもう絶対言い出さねぇ。こんなに気分の悪くなる空気を吸ったのは久しぶりだ」
「俺だってホラ、お前側に出してた腕がサブイボだらけだ」
「うわザラッザラだ。気持ちわる」
「触んな!」




クルー全員分の食糧を詰め込んだ大きな袋
右と左に分かれて持たれているソレが、
あっちへこっちへと引っ張られている


ナマエはペンギンが嫌いだ
ペンギンもナマエを好かない



※ただし矢印は二つとも真ん中に向かって伸びていることとする