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からかって面白い人間って言うのは、それだけで一緒にいて楽しいからだぁい好き




『ゾロぉ、また迷子になっちゃったのー?』
『いつになったら船へ帰れるのー?』

「うるっせえよ!!お前らのせいだろが!」

『あー、ゾロってばひどーい』
『そんなこと言ってー いけないんだー』
『やーんナマエー泣かないでー』
『うん、ナマエー僕泣かないよー』

「……うるっせぇ!!」



あーまた怒ったぁ!




ゾロの守護霊は、本人とは反してとても喧しい
人間の少年や少女の姿をしておりとても小柄 触れるという感触があれば、小さな姿を見落として何度か激突したことがあったかもしれない

この守護霊たちに"個体"はない
ゾロが目を放した隙に、少年少女は増減を繰り返している
ある時見れば二人だったり、三人に増えていたり、四人であったり、一人減っていたり
それはゾロが人を斬りつけるたびに変動するらしい
消滅と増殖を繰り返すことで、人の業とやらを教えているつもりなんだろうか、とゾロはこの守護霊たちをウンザリした面持ちで見ていた



「早く船におれを帰してぇんなら、要らんことすんな!」
『だってゾロってば面白いんだもん』
『間違った道を教えればすぐにそっちに行っちゃうし』
「だーっもう!戻れんじゃねーか!!」



守護霊の姿はその人本人にしか見えない。故に一人で怒鳴っているゾロを遠巻きに見ては街の者達はそそくさとゾロを避けて行く
その様子にでさえナマエとナマエと呼ばれる二人の守護霊はニコニコケラケラ楽しそうに笑っている
みんなゾロが大好き ゾロが面白いから大好き




『次の角を右に行くんだよゾロ〜』
『ううん違う、このまま真っ直ぐだよゾロ』
『違うって!来た道を引き返して左だよゾロー』
「三人になってんじゃねーか!どれだよ本当の道は!」
『バカだなーゾロ さっきの屋台を右だってば』
「四、人、目!いい加減にしろ!」



ナマエ達とナマエ達は大爆笑だ
ゾロは楽しい だから大好き その人が好きだから その人と一緒にいられるのが楽しい

なんて幸せな無限ループ まったく人とは素晴らしい



『このまま船に戻らずさぁ、ゾロをずっと独り占めしたいよねぇ』
『昔みたいに?』
『ジョニーとヨサクとかって人間と会うより前みたいにね』
『くいなって子がいたじゃん あれは?』
『あんなのよりもっと前にだよ』
『ゾロは僕たちがいればいいもんねー』
『私たちがいればいいよねー』

「…………ハァ…」




守護霊って、こんなに疲れる奴ばっかりなのかよ……とゾロは頭を抱え呻った

全く、一向に サニー号へと帰れそうにない