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「#幼馴染」のBL小説を読む
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白ひげ海賊団五番隊隊長、花剣のビスタは自他ともに認める"紳士的な海賊"だ
敵には容赦はしないが、仲間には滅法優しいこの男、ビスタの下にナマエが配属されたのは、正に奇跡に近い。いや違いない
これがもし二番隊隊長のエースであったと考えよう。
いや、考えようとしたがあまりに恐ろしい出来事が起こる予感しかせず、考えるだけでナマエは身震いをした。
ならば四番隊ならどうだ、一番隊は?三、六、七、八……どれもこれも無理そうだ。やはりビスタ隊長で良かった、とナマエは仮面の奥で安堵の息を吐く





「あまりナマエのことに茶々を入れるものではないぞ」




今も、ナマエの仮面の奥の謎を解き明かしたがる好奇心旺盛な男たちを諌めてくれるのはビスタ隊長だ
あの人に注意をされれば、クルーの者たちは了解して退散してくれる。未練がましい目で見られることも好きではない。ふー…と息を吐いて胸を撫で下ろしたナマエに、ビスタはにこやかな笑みを浮かべ近づいた。ほんの少し身構えはするが、ナマエは仮面の顔を背けない




「ちゃんと食事は取ってるか?ナマエ」
「摂ってます。ちゃんと」
「そうかそうか。紳士は食事と会話を大切にするものだ。それらを疎かにしては、強くなるにもなれないからな」
「はあ……」
「む?顔が見えないからと言って、今呆れた表情を浮かべたんじゃないかな、ナマエ?」
「そ、そん、そんなことないです決して!!」




ナマエが顔を仮面で隠す理由 それは自分の表情を他人に見られたくない為


いつ、誰に対しても、ナマエは引き攣った顔しか出来ないのだ。「笑え」と言われても笑えないし、「怒ってみろ」と言われても怒れない。ナマエの表情はいつも、口を不自然に釣り上げたままの形で固まっている



「まあ私はお前のそれにとやかく口を出すつもりはないから、安心してくれたまえ」
「…ありがとうございます、隊長」
「それに、その仮面はなかなかセンスの良さを感じる。どこで手に入れたのかの方が、余程気になるよ」
「これは、故郷を出る時に母が持たせてくれたもので…」
「なんと」




物心ついた時から他人に自分の顔を見せるのが嫌だった。そんな我が子を気にかけた母親が用意したのは、顔を隠すのに丁度いい子どもサイズの仮面。今付けている仮面は三代目で、故郷を出る時に母がプレゼントしてくれた
ビスタがセンスが良いと褒めるなら、それはナマエの母親に対してだ。家人を褒められるのは嫌いではない
お陰でこのテの話なら上がらずに会話が出来る



「ああそうだ…エースがナマエのことを気にしていたよ」
「え……何で仮面をつけてるんだー、とかですか?」
「いや。『ナマエって夜寝る時も仮面付けてんのかな?寝苦しくなんね?』と心配をしているみたいだった」
「…はあ…それはそれは…」
「どうだ?これを機にエースとも交流を持ってみれば」
「ハ、ハードルがいきなり高いです隊長!」
「友情を大切にするのも、紳士の条件だぞ!」



ビスタ隊長はそればっかりだ!