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「#幼馴染」のBL小説を読む
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白ひげ海賊団の懐の広さと言えば、他の海賊団の追随を許さないレベルだ。
色んな人間や人外を受け入れるから、船には"色々"が溢れかえる。それは戦い方であったり、人間性であったり、生まれの違いであったり、野望や夢の違いであったりと様々で、ただそれらを持て余すでなく、全てを同じ平等な力と愛を持って統率するエドワード・ニューゲートその人の力量は、海賊と言う枠組みに当てはまることなく、人間として素晴らしい人物だと白ひげのクルーは笑顔で語るのだ





さてここに、そのエドワード・ニューゲートの素晴らしさを笑顔で語れない男がいる。名は辛うじて聞き取れた範囲ではナマエと言うらしい。くぐもった声もそうだが、何より彼の性格や素行は船の中でも"異常人"に分類される。 物語の中に出てくるような悪魔の面をした仮面、それを四六時中被っているのだ。おかしい。まず誰が見ても真っ先に思うこと。何か、やましいことをしでかして世間様に顔向け出来ないようなことをしたのかと勘繰る者もいる。それなら、ココにいる者たちは海賊で、全員世間に顔をノコノコ出せないような人間ばかりだ。それをあんな仮面でわざわざ隠すこともないだろうに。ならば、とても醜悪な顔立ちをしているんじゃないか、奴の目を見たものは全員石に変えられてしまうとか。疑問は湯のように湧き出てくるものだ




「………はあ」


ナマエは疲れた声を出して、誰もいない船尾にズルズルと腰を落とした。今日も聞こえて来る沢山の人の話し声。いずれ興味関心を無くしてくれるだろうと思っていたが、まだまだそんな様子はない。そんなに珍しいものなのか、仮面で顔を隠すと言う行為は。…まあ確かに、怪しいと言う点では否定は出来ない。ナマエは仮面の中の顔を真っ赤っかに染め深く溜息を吐き脱力する。
自分と言う存在が、他人の誰かの話の中心として存在している。
その事実を認識しただけでこの有様。好奇の目で見られるのも、堪ったものではない



白ひげ海賊団五番隊隊員・ナマエ
彼は人一倍、上がり症であった