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注意を受けたナマエは、マルコの後ろをついて回るのをやめたらしかった。
今は大きな体を大人しくさせ、長い首を右へ左へ動かしている。その視線の先にはマルコ。マルコ。たまにエース。周りをウロついてるからだ。そしてマルコ。鋭い目に恋する女の子みたいな熱を宿して、熱く見つめている。このドラゴンちゃんはすっかりマルコに骨抜きだ。それが可笑しくて面白くて、からかってやりたくなるってモノだろ?



「マルコに怒られて可哀想だなーナマエ」
『そんなことないの 確かに邪魔をしてた私が悪いのだから』



いい子…いや、いい龍だ 雛鳥が親鳥の後を付いて回るようなアレをしてただけなのに、「お前は体が大きいんだから、じっとしとけよい!」って怒られたんだよな?酷い奴だよなーマルコは うん、酷いひどい 酷い男だまったく



『…そんなにマルコのこと、悪く言わないで』
「お、おっとそんなに言ってたか?わりィわりィ」
『マルコは いい人間よ』
「そうかそうか んじゃぁおれは?」
『………あなた、誰だったかしら』
「うおおおおい!サッチ!サーッチさん!!」
『サッチ』
「そう!」



ナマエはやっぱり学習能力が高いな! おれとかエースとかラクヨウが教えればどんな言葉も吸収してっちまうから、保護者殿にこっ酷く叱られるんだけどな

しかし、何故かグルル…とナマエが喉を呻らせた。ど、どうしたんだ?
その目線の先には、何かを用意したのか手に大きな箱を持ったマルコと、……ああなるほど、ナースが一緒にいる。モビー・ディック本船に乗ってるナースの中でも結構美人な部類に入ってる子だ。確か前々からマルコに気がある、って噂を聞いてた。それを知っておいた上であの光景を見れば、ははーんなるほどなーってなるんだが、隣に立つ大地龍の子はそうもいかないらしく



『…………………』
「あ、あのー…ナマエ、さん?呻り声が、どんどん低く…」
『……何故かしら あの人間、今すぐ焼き殺してしまいそうになる』
「ちょっと!?だ、駄目だからな!?」
『どうして 苛々する 人間の雌とマルコが一緒にいるあの光景、凄く嫌』



人間の言葉を勉強中のナマエが、知っている言葉を使って感情を伝えてくる。 そりゃ嫉妬だぞナマエ! って教えてやりたいんだが、だがそれを教えたところでこのドラゴンは怒りをお鎮めになってくれるのか? 低い声が聞こえたのか、甲板を歩いていたエースやラクヨウが「どしたどした」と近寄ってくるが違う!お前らじゃねぇんだ!



「おいこらマルコ!!とっととコッチ来いテメェ!」

「――あ!?んだよいサッチ 何でお前にんな事命令されなきゃいけねぇんだ!」




お前の嫁が怒り猛ってんだよ!どうにかしろ!














「……今日中に作成しなくちゃいけねぇ海図の処理に追われてました。すまねぇよい」
『……………そう』




ナマエの前で小さく縮こまって正座してるマルコなんて珍しい光景だ。その姿だけでおれらは酒が美味い。いいぞもっと痴話喧嘩しろ

マルコは勿論、あのナースちゃんも焼き殺されることはなかったわけだが、すっかり臍曲げてしまったナマエのご機嫌取りにマルコは忙しいようだ。何せ初めてのジェラシーだもんなァナマエちゃん 寧ろ『雌の龍に嫉妬心を抱かせた男』ってマルコが世界初じゃないか?おめでとう!



「…テメェ等他人事だと思ってよい…」
「おお他人事だもんな!」
「嫁さんほったらかしにしたんだ、それ相応の罰は受けてこいよマルコ!」
「…こえぇ事言うんじゃ………………って、まだナマエはおれの嫁じゃねぇよい!!」



『マルコ はやく こっち来て』


「は、はい………」

「ギャハハハハ!」
「ひー!愉快!!」




すっかりナマエ用のジョッキ扱いとなった巨大水槽の中に酒を注ぐ行動に戻るマルコ
上からはナマエが見下ろしてるし、逃げ場はないしほんと可哀想だぜアイツ

「まーナマエもさ、マルコも悪気があったんじゃないから、そろそろ許してやれば?」

酒を飲み気分を良くしているエースがそう絡む。
エースの言葉に少し逡巡したナマエが、うぅん…と呻って出した結論はこうだ



『……今度は 丸呑み』
「!? ま、丸呑み!?」



…がんばれマルコ! おれ達はお前たちを応援してるぞ!