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宝物は山分け 海賊船のルールは絶対です でも僕は要りません 金銀財宝、美しい女に美味い酒 そんなものは全部ポイです 必要ないですから ただ、僕にはエースをくれればいいです エースがいいです エースだけが僕のものでいてくれるなら他には何も要らないんです こんな事を考えるようになったのは正しく君と出会ってからです エースがいてくれれば、エースが僕のものであるなら 僕はエースをとても愛しています どうしてでしょう 何故でしょう どうしてこんなに愛しく思うんでしょう エースのことを考えるだけで心臓の辺りがざわざわします 痛かったりもします 時に甘い滲みのようなものも感じます 君がいなければ僕はただ人間の皮を被ったハリボテ以下に成り下がるでしょう いやもうなってるのかもしれない あの子は酷い子なんです "人間"てものを一切合財信用できなくなっていた僕に純真な笑顔で近寄って来たんですから 怖いこわい 怖い子だエースは でもそんな僕はエースに毒され、いや癒されて、今の僕がいます だから僕という人間を作ったのは、間違いなくエースなのです エースがいなければ僕は人間にだってなれやしないんです エース エース エース ポートガス・D・エース 僕はね、君が






「エースは酷い子だねこんなに熱いんだもの」
「……じゃあ放せばよくねぇか?」
「放す?僕が?エースを?嫌だよ」
「でもおれの体あっちぃんだろ?」
「それがエースのイイところじゃあないか」
「でも今、ひどいって…」
「ああうん。エースは酷いよ。だってこんなにあったかいから、僕は君から手を放せそうにないんだ。こんなにピッタリ引っ付いてるのに、まだ足りないんだよ。なあエース 僕と君の間に隙間はもうないかい?嫌なんだ、隙間があるの 一ミリも君から離れてたくない」
「…ああ、ないよ。これでもかってくらい、密着してる」
「本当に?なら良かった、よかった  よかった、」






ナマエは可哀想な男だった 元々別の海賊団の航海士をしていたナマエが、どうして白ひげの船にいるのかは昔マルコが教えてくれた ナマエが前にいた海賊団の船長は横暴で横柄で屑も屑、クソ人間だったらしい 町で航海士の勉強をしていたナマエを無理矢理攫って船に乗せたんだ ナマエは生きる為に必死に笑顔を浮かべて船長の為に航海を手助けした 結構上手く行ってたらしいんだ 途中までは でもある日、ナマエの読み間違いで船は大きな嵐に巻き込まれ転覆 海に放り出されたナマエは必死に甲板にいた船長やクルー達に助けを求めた でも誰も助けなかった ――お前のせいで! 使えねぇクソ野郎が そのまま死ねよ! 二度と上がってくんな!沈んでろ!―― 今にも波に呑まれてしまいそうなナマエの上に、男たちは甲板にあった酒樽や木箱を投げつける その内の一つがナマエの頭を強打し、血を流しながらナマエは意識を消失 プカプカ浮かびながら海を漂流していたところを白ひげ海賊団が見つけたのがそれから2日と半日後のこと  ナマエの右眉の上には、一生消えない傷跡がある ザックリ裂傷の入っていたそこが瘡蓋になって新しい皮を貼っても、痕は残る 可哀想なかわいそうな 大きな傷は心臓に出来てて他の人間には見えないけれど






「エース、エース、エース…」
「んっ…… お、いナマエ くっつくのはイイけど、」
「エース、好きだよエース、エース」
「む、ねは、触ん、な…」
「可愛いなあ、エース 君はとても可愛いよ それにいい匂いがするんだ 安心できるいい匂いが 君は凄い子だねエース 君のことを思う度に僕は人間になれる気がする どうしよう どうしよう こんなに今が幸せで恐ろしいな 本当に」




例えば



ナマエはただの人間で、能力者じゃないし屈強な海の戦士でもない 他の男に比べれば平均的な体をしていて、力もそれほどない航海士
だけどもし、彼の目の届く範囲からエースが永久的に見えなくなったとすれば、彼はどうするだろう ただの男だと思っていられる男ほど、狂ってしまえば何をしでかすかは不明だ 一人の狂人を生み出すには充分すぎる程の要素が揃っている ナマエはエースがいないと駄目で、エースがいなければこんなせかいなんて







「……お前、大丈夫か?海漂流してたんだろ?もっと体拭かねぇと風邪引くぞーこの船の船医はナースも含めておっそろしー奴らばっかりなんだぞー」
「…………………」
「……おれも、最初はこんな感じだったな。この船の誰も信用出来なくてさ  でも安心しろって!おれ、お前がこの船を好きになってもらえるように頑張るからよ!いい船だぞー!」
「………、…」








エースがいない世界なんてとっとと潰れてしまえばいいんだ