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行為の前より後の方が恥ずかしい。
いつもそうだった。



汗ばんだ身体を更に密着させる為に俺の方へ引っ付いてくるキャプテンの姿を見るのが既にはずい。
俺がこの人に付けたキスマークとか、腰を支える時に持った手の痕がついていたりとかして見るのも堪える。

俺がまだまだ青臭い証拠かな…とは思うが、ほぼ同い年であるキャプテンは多分こんなこと思ってねぇんだろうなーと思うと何だか癪だった。



「…キャプテン?意識あります?」

「……どんな嫌味だそれは」

「あー…いや、単純に大丈夫かなーって思っただけです」



お前がトばすつもりがなかったんなら、おれの意識はトんでねーよ。


背中に回されていたキャプテンの手に肩甲骨の辺りを殴られる。弱々しい力だったから、さすがにキャプテンも今日はだいぶ疲れてるようだ。
因みに俺はまだまだ元気です、とか言ったらまた殴られっかな?



普段から不健康で不摂生な毎日を送ってるキャプテンとは違って、俺は健康優良児だからな。
毎日太陽の光を浴びて波に揉まれ体力増強に力を入れて肉体改造に余念はありませんから。
…どうにかキャプテンと並んで見劣りしない男になろうって奮闘した結果はちゃんと形になっているのが嬉しい。
やっぱり努力はするもんだ。



「俺、水でも汲んできましょうか?」

「…要らねぇ。此処にいろ」

「了解っす」



腕に力を込められてしまえば俺に逃げる道はない。黙って抱き締め返しておこう。

うーん、しかしキャプテン、相変わらず細いなあ。こんな細さじゃ寝ボケた俺が誤ってボキッと折ってしまいかねないぞ。もっと食べるように言った方がいいのかなこれは。
でも多分、そんなことぐらいじゃキャプテンは生活態度を改めはしてくれないんだろうがな。そこが少し寂しいところだ。何も全部言うこと聞けとは言わないから、せめて、俺の悲痛なお願いくらいには耳を貸してくれたら良いのに。



船全体が緩く振動しているのが床から伝わって来る。
ゴォン、ゴォンと駆動する音が聞こえる他以外は、潮騒も聞こえない、静かな夜だ。



少し落ち着いて来たら、またもう一ラウンド、と言うことも稀にあるが、今日はもうしないようだ。キャプテンはこのまま寝る態勢らしい。
せめて服を…と考えたけど、動く気配もないからこのまま朝まで全裸同士くっ付いて夜を過ごすハメになった。
どんな拷問なんだろうかこれ…。
ダメだ、俺も早く眠ってしまうに限る。
生殺しのまま、ダメ、ぜったい



「お休みなさい、ロー」

「……あぁ おやすみ、ナマエ」




どうか良い夢を、俺のキャプテン