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『闘技場 剣闘士』の誘う伝書が届いた。ドレスローザで根強く残る闘技場なんて文化の手が、遂に巨人族へと伸びたのだ。 大勢の人間たちが己の身一つで死闘を繰り広げると言う闘技場の場に、身体の規格が桁違いの巨人族が参加しては観客を萎えさせるのではないだろうか?
グシャグシャに丸めた伝書を棄てようとすると、ニューゲートが下からとてもキラキラした目で見上げてきていた



「親父、剣闘士になるのか?」
「…ならんぞ 面倒だ」
「どうして! 格好いいのに」
「そうは言うがな、お前は剣闘士を見たことがあるのか」
「ない 何となく、名前がかっこいい」
「……だろうと思ったぞ。このアホンダラァ」



もう少し年を取り、力を付ければ もしかすればニューゲートなら参加出来たかもしれないな。
10年の時が経ち、ニューゲートは順調に大きくなって行っている
その過程をすぐ近くで見守っていると、普通の人間の成長と言うものがどのような具合で進むのかが分かってとても面白いことに気付いた。



ニューゲートは、早くナマエのように大きくなりたいと思っている。なれるもんだと思っている。本当の親子なんだと、信じて疑っていないからだ。
知っている。ナマエは、親父は、巨人族は300年の寿命があるんだ
それなら、まだ十になったばかりの自分はまだまだヒヨっ子同然
どれくらいの年頃から顕著に違いが現れるんだろう、と胸を躍らせていた
そんな息子の様子を ナマエは知っていた。知っていて、何も答えずにいる
今伝えなくとも、いずれ自ずと知るだろうから。自分とナマエは、本当の親子ではないことに





「そんなに力が有り余って仕方ないのなら、適当に賊でも狙って金品を奪って来い」
「…金なんて欲しがってねぇくせに」
「力を誇示するなら丁度いい働きだろう。ほら行った」
「分かった」



ニューゲートの10歳の誕生日に、ナマエが拵えてやった長刀を構え ニューゲートは山奥に入って行った。 近隣住民の話では、最近そこらの山を根城にしている山賊がいて困っているのだと言う。それぐらいならニューゲート一人でもどうにかなる相手だ。
あの子は強い 間違いなく強者の素質を持っている
ただの人間としておくには、勿体無さ過ぎるほどの力が




「…………潮時とやらは、いつ来るんだかな」



もう少し普通の人間の持つ時間感覚を学ばねば、ダラダラと時を過ごしてしまいそうだ