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周りを海に囲まれてる密室空間なんかにずっと居たら、そりゃあ欲望だって湧くし自我も崩れちゃってさすがのマルコさんでもでれ助になってしまいますよねえ。どんな男でだって聖人君子ではいられないんですよねえ。第一、あんな女好きの鼻下長マルコが、俺のような男と番いになったって事実からしてまずおかしいんだが。だってあいつは、多分誰だって良かったんだろ。自分のことを好きだと言って来た男がいたから、それに適当に答えただけで、あいつは俺を愛してやいないんだ。はいはい、分かってましたよそんなことくらいさーーーー


「うーーんーーほんとつくづく、愛ってくだらないよなーーー」



信じた奴が馬鹿を見るって時代だし?世知辛いね、全く






「あ、おーいナマエー」

「んですかサッチ 何か用」

「マルコ知らないか?あいつ買い出しほっぽってってよー」



何でこんな気分の時の俺にわざわざあいつの話題吹っ掛けて来るかなぁこいつも



「はーい、俺、マルコが何処へ行ったか知ってまーす」

「お、マジか!」

「娼婦館に入ってく後ろ姿を見ましたー」

「…は?…え、しょ、娼婦館??」

「あの特徴的な頭を見間違う筈ないですから間違いないかとー」



教えたんで、もう船に戻っていいか?
でもサッチはそれを許してはくれなかった。待てよ!と肩を掴まれる。痛いんだが


「あいつ、またそんなとこ行ってんのかよ!?」

「…行ってるとこ見たから、事実じゃないのか?」

「事実じゃないのかって…お前あいつの恋人だろ!?」

「………そうだったような気もするなあ」

「マルコが、男だけどようやく恋人を作ったから、あいつの手癖の悪さも直ってんのかと思ったら…」

「直ってなかった、ってオチだろ?笑えるよな。
もう行っていいか?」


自分で思ってたよりも低い声が出たのが分かった。目の前のサッチがまるで悪いモノを見るように俺を見るから笑えてくる。なんだよサッチ、俺はそんなに顔を青褪めさせてしまうほどおっかない顔してんのか?


まあでも分かるぞサッチ
俺だって、お前と同じ事を考えてた仲間だからさあ


「やっぱりあいつは、組み敷かれるより組み敷く方がイイってことなんだろ」



サッチがまだ何か言いたげに口を動かそうとしたがもう俺の方に聞く耳はない。
さっさと船に戻って、船に待機組の奴らと飲んで馬鹿騒ぎをしている方が余程楽しい宵を過ごせるだろう
きっと、マルコは朝方に帰って来る筈だ。女の臭いを綺麗さっぱり落としてから
俺が知らないとでも思って「ナマエ、ただいま。昨日は帰らなくて悪かったよい。島の酒場でそのまま寝こけちまってさあ」とお決まりの言葉を言ってくるつもりなんだ。


生憎だがなあマルコ
俺はいつまでもお前の浮気を知って放置させておくような聖人君子じゃあないんだよこれが



「……あーあー…我ながら悪い男に惹かれちまったもんだ全く」


だがそれも明日の朝までだ


別れ話はこっちから切り出してやるから、有難く思えよ、浮気者のマルコさん?