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まさか転移するタイプのウィルス……呪い?だとは思ってもみなかった
えらく短縮してしまった自分の手足を見つめ、シャチはわなわなと震えている。ぽちゃっとした腹部が忌々しい。揃いも揃ってニヤニヤと見下ろしてくるクルー達の視線にも、耐えられそうにない



「…っ、お前らなぁ! 面白がってねぇで、おれとナマエさんが小っこなった原因とっとと探れよ!!」



少年のような少し高い声で怒鳴ってみても、他のクルー達はちっとも動き出そうとしない。ナマエの時はあれ程バタバタ騒いでいたのに、次なる対象がシャチになった途端にこのロクデナシっぷり。本当に仲間甲斐のない奴らめ!とシャチはぷんすか怒っている。……これでも充分怒っているのだ!



つい先ほど、少年の姿から元の大人の姿に戻ったナマエの無事を――少しガッカリしつつ――喜んでいたローも、隣にいたシャチが小さくなっているのに気付くと「……………何だこのガッカリ感は」と言った。しかも溜息混じりに。
「テンションの差が激しすぎるっすよ!!」シャチは自分の境遇も忘れついつい突っ込んでしまった。
全く、キャプテンがこんな調子だからクルーもクルーだな!



「まぁ、あまりそうシャチ君を揶揄かってあげるものではないよ」
「え…、わっ!?」



急に足が地面を離れ、空中を掻いた。そして直ぐに硬い感触を下に敷く。



「心配することないぞ、シャチ君 きっと俺の時のように、すぐ戻る筈さ」
「な、な、わ、」



きゃああああああああああああああああああああ!?

内心で大絶叫したシャチは今、ナマエの膝の上で抱っこされている。
それこそシャチが、夢にまで見たようなシチュエーション付きで、顔のすぐ横にナマエの人のいい笑顔が持って来られていて、驚くほど近い。ビックリする程に至近距離



「……………ナマエ、だからって何で膝に抱える必要性があるのかを言え」
(キャプテンこええええええ!)
「そのまま床に立たせていたら、他の皆にシャチ君が踏まれてしまうかもだろう?」
(ナマエさん全然気にしてねええええ!)



おれがキャプテンとナマエさんに取り合われてる図だと思うか?そんな事考えてる奴がもしいたら是非この状況を見て欲しい。見た目が小さかろうが子どもだろうが関係ないと言わんばかりに突き刺さってくるキャプテンからの視線。多分あれは、目だけで人を10人くらい殺傷出来るレベルの奴だ。


己のキャプテンにそんな目で見られているシャチはそれでも、ローからの突き刺す視線から自分を護ってくれるナマエの腕の温かさに泣けて来そうだった
なんだろうこれ…ナマエさん、めっちゃ温かい…。どうなってんだろこれ…。


思考回路がボンヤリとしてきた。そんなシャチに、呆れ気味のペンギンが声をかける


「おいシャチ 悦に浸ってるようだけどお前こそ危機感無くしちまってっけどいいのか?」
「――ハッ!!ついナマエさんの温かさに酔いしれてた!」
「ア゛?」
「すいませんキャプテン出すぎたことをいいましたごめんなさい」



この時シャチはなんとなく、自分が元の身体に戻った時、ローに処刑されるんじゃないかなあと言う確信を抱いた。

それは後々、シャチが当たらずとも遠からずの目に合うことのフラグだったのだったたたたた……(ペンギン談)