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鋏を所望する




*「わがままきいてよ そばにいてよ」設定

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「……お前とだけは関わりたくなかった」
「そんな照れるなよナマエ!」
「全力で嫌がってるんだ!」



親戚の親戚の親戚、もはや顔さえもよく知らない親戚の葬儀に来た遠方で
とんでもない者と出くわしてしまった。


ドフラミンゴだドフラミンゴ


見覚えのあり過ぎる顔立ちと奇抜なファッションセンス(葬式中なのに)に思わず注意を引かれ、脳がそれを奴だと認識したときには手遅れだった

「ドフラミンゴ!?」と呼ばなけりゃ良いものを自ら呼びつけてしまい、
黒いサングラスの奥でオレの姿を視界に捉えたドフラミンゴの口角がそれはもう上がってあがって「…ナマエ〜!」と喉から搾り出されたような粘着質な声にオレはもう葬式を放り出して逃げ出したかった






何故、この年になるまで血縁関係者の中にコイツがいたことを知らずに生きてきたのに、何故今になって出会ってしまった

ドフラミンゴが言うには"運命"らしい

従兄弟同士のもっさい男同士で、何が運命だ。薄ら寒くて悪寒が止まらない



「何でまたお前と血を同じくしたんだ…」
「フッフッフ、帳簿の中に見知った名前があったからもしかしてと思ったが、案の定お前だったみたいだなナマエ!」
「お前…オレより後から来たんだな…」



オレが記帳した時はドフラミンゴの名前はなかった
本当に迂闊だ。
両親に催促されなければ絶対に来なかった葬式で、こんな、ああ、あぁぁああ



「あぁぁあぁあ………」
「それとお前の住所も見せてもらった」
「ハァ!?おま、何を勝手に、」
「するとどうだ、来月おれが引越しする家の隣じゃねぇか!」
「はぁあああああ!?は、ぁ、ハァッ!?」



いえが、となり!?


おいおいおいおいおいおい、前世でも無かったほどの密接!




「冗談だろ!?」
「本気だぜぇ」
「今から考え直せ!」
「断る」
「断るな!」
「せっかくまたナマエの傍にいれるんだ、だぁれが止めるかよ」
「テ、メェエ!!」




ああ嫌だ!
もう何か、全てが嫌だ!
ドフラミンゴと言う男の存在自体がオレのエマージェンシーだ!




だれか鋏をくれ こいつとの縁が切れるぐらいのぶっとい鋏を




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