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「ちょっと寂しいけど…それで?」




今もナマエの両腕は動かないまま。
原因は、道を横切ろうとした子どもに突っ込もうとしたトラックから子どもを守るため。激突を免れたのは不幸中の幸いだが、両腕どころか今度は上半身が碌に動かせなくなっている。




こんな事を言えば、クザンの人間性を疑われるだろう。
しかしそれでもクザンはこう思う
ナマエの不自由を作った原因が、おれでなくなってよかった、と






「抱きしめてよーナマエー」
「…無茶って言葉、知らねぇのか?クザン」
「知ってるけど、あんまりおれと縁がない言葉なんだよね」
「あー…うん、そんな気ぃするわ」




近々、元あった両腕を義手と交換すると言う計画を立てているナマエの姿を見に来たけれど、
やっぱりコイツは変わってない。あの頃とちっとも別人ではなく、ナマエそのものだった



「…なーんでおれの事覚えてないわけよー」
「またその話かぁ?何か知らんが、覚えてないもんはしょうがないだろうクザン」
「……」
「むくれるな、むくれるな」



ほらそうやって、人の頭を顎で撫でるとこ ちっとも変わっちゃいないじゃんか


それなのに、どうしておれの事はすっかり忘れちゃってるの



「…ありえないよねぇ」
「しつこいぞクザーン」





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