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「#幼馴染」のBL小説を読む
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臆病なわたしは




喜ばなくては


最初に思ったことはソレでした。そして次に思ったことは 何故? です






"これは何でもないし何にもならない関係"だと思っておりました。愛されていると言うか、遊ばれている。そう思いながらも大好きなあの人に体を許していたのです。あの人に、愛されたらなあと。だけどきっと無理なのも分かっています。あの人は全てに無関心なのです。愛だとか、信だとか、心だとか、そう言ったあれこれがくだらなく感じるのだと思います。それに人と接するのも嫌いだと言うのです。一体どのような幼少期を過ごせばそんな頑なになってしまうのかしらと思いますが、でもあの人は私から話せば答えてくれる優しい人なのも知っています。
「お仕事はどうですか?」と問えば、「忙しい」と答えてくれますし、「何か作りましょうか?」と訊けば、「脂っこくないものを」と答えてくれるのです。やさしい。ああいいえ、きっと私だけが特別だとかそんなんじゃないと思います。あの人は素敵な人ですから、私以外にもたくさんの女性を知っているのでしょう。そしてその女の人たちにもきっと、   きっと




ええ、きっと






「……腹に子を宿した女性は、私で一体何人目なのでしょう……」






たとえこれがあの人の気まぐれだったとしても私は喜ぶべきなのです 大好きなあの人の子を授かって、何を悲観いたしましょう
赤子ではありません分別ある大人です 遊びも本気もありません 哀しみも妬みもありません あるのは この事実だけなのですから






傍らの携帯電話がチカチカと着信を告げる

ああ、今夜も私を呼んでくれるのですね
身重となった体でも、私はあなたに愛されてもいいのかしら




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