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「#幼馴染」のBL小説を読む
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身内からのフェーバリティズム




「ナマエ、疲れたんじゃないか?そろそろ休憩に…」
「大丈夫ですよマルコさん!まだ後少しやりましょう。終わらせられますから」
「そうか…?でも無理はするなよ。すぐに俺を頼ってくれい」
「はい、勿論です!」



マルコはとても優秀な男だ。会社の社長であるエドワード・ニューゲートからも信頼を置かれ、頭はキレるし仕事の手際もよく外面もいい好青年(中年)
彼の部下となった者は必ずと言っていい程ちゃんとした仕事を覚え全うな人間になって帰って来ると言っても過言ではない
多少の口の悪さや冷たさなんて目を瞑るのは簡単だ
また、それを自慢しないところも彼のいいところだった。
頭の良さや腕をひけらかしたりしない。オマケに厳しくとも面倒見が良く、
これ以上、上司にしたい逸材がいるだろうか?

そう、マルコと言う男は完璧な男だ。……完璧な筈だった




「マルコさん、与えられた仕事が粗方片付きました。後は如何すればいいですか?」
「何言ってんだい。まだまだ仕事は沢山あんだ。休んでる暇なんかねぇよい」
「え…あ、はい…」



これである
いや、マルコは至極当然のことを言っているまでだ。まだまだ終わらせなくてはいけない仕事は山積で、まだ休憩できる目処は立っていない。
部下の男が上司であるマルコに指示を仰ぐのは当然のことで、それに対しマルコが答えるのも当たり前だが


ナマエと他の部下たちに対する態度にギャップがあるのだ


今の今までナマエに向けていた視線と、指示を仰ぎに来た部下を見る厳しい目
ナマエ専用、とまで言われている穏やかな声音はナリを顰めている
そしてナマエに掛ける言葉との微妙なニュアンスの違い




「ナマエ〜…てめー、甥っ子だからってマルコさんに可愛がられ過ぎなんだよー…」
「そうか?マルコさん、昔っからオレにはあんな感じだべ?」
「そりゃ昔っから可愛がられてるってことだろーが!」



鞄と携帯を握った涙目のハルタはこれから外回りだろう
恨みがましくデスクに向かうナマエに棄て台詞のような「ちくしょおおおおぉぉぉ……」を残し階段の向こうへと消えて行った



「ナマエ、今ハルタの奴となに話してたんだよい?」
「マルコ叔父さんがオレにだけ甘いとかって」
「なーに言ってんだか…身内ってだけで可愛がるほど甘い男じゃねぇよいマルコさんは」



マルコが昔からナマエを可愛がっていたのは、昔からナマエが可愛がられるに等しい奴だったからだ

いつもニコニコ天真爛漫で、テストの成績を褒めてやれば更にその上の点数を取ろうと頑張り、部活動で活躍すれば観戦に行くからと言えば本当にレギュラーの座に輝くような努力の男だぞナマエは。
と、マルコは昔のナマエを思い出して1人ウンウンと頷いた

どこにも依古贔屓なんてない
そうだろう?



「はいはい、お前ら いつまでもボサっとしてねぇで仕事もどれーい」



パンパンと手を叩いて周りで見ていた者に号令を掛ける


「あ、ナマエはおれにコーヒー淹れて来てくれよい」
「分かりました!」



そんな仕事は他の女の子がやるのにつまりそれって体良く休憩を言い渡しただけじゃ!?

部下たちはズルイぞー!と給湯室に入って行くナマエの背中にブーイングを被せる
しかし、早くデスクに戻れ!と言うマルコからの鉄拳が飛んだ





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