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甘ったるい幸せ




世間ではコレを"ギャップ萌え"と言うのか。勉強になった
でもオレの場合は『萌え』と言うより『燃え』るかもしれない



「………………」
「…ナマエ?ジッとなに見て…」
「お前の口の端にクリームが付いてることを教えるべきか悩んでた」
「早く言え!…どっちだ」
「右側の上だ」
「ああもう…」



因みにそのクリームはドレークが3番目に食べたワッフルベリーベリーとか言うイチゴとクリームたっぷりワッフルデザートの時についた奴で、今食べている5番目のクリームブリュレショコラの奴ではないから了承してほしい。



ドレークは甘党だ。しかも"超"がつく程に重度の甘党
コーヒーに砂糖とクリープは常識だし、麦茶にでさえ砂糖を入れて味付けしたりする
好きな食べ物はチョコレートとカスタードクリームで、コイツの家の棚の中には大量の蜂蜜瓶や業務用チョコレートのパックが眠っている。
見た目のゴツさやイカつさからは想像も出来ない程にドレークの体は砂糖で構成されていて、こうして見てる方の胃がムカムカしてくるようだ

勿論、ドレークが甘党だと言うことで他人に害があることはない
ドレークが勤めている会社の女社員が海外に旅行に行っていたとかで現地のお土産のチョコレートを貰った、とか言ってオレにお裾分けのお裾分けをしてくるのにも問題はない。あのチョコは美味しく頂いた

ドレーク自身は「男が甘いものが好きだと言えば、軟弱だと笑われるだろう」と言って会社や外の人間にはひた隠しているらしいが、別に隠さなくてもと思う。今はそう言う男子が流行っているとテレビで見たことがあるし、ドレークなら見た目も悪くないんだから女子に好印象を与えられるんじゃないか?




「甘党でないオレとこんなトコ来ても、楽しめるのか?」と一応訊いてみたが、誘って来たドレークはそんな事些細な問題だったらしい。前々から気になっていたと言う商店街の一画にあるカフェ(どう見ても女子向け)に来てもドレークは何ら気にしていない。男2人のテーブルを好奇の目で見る周りの女たちからの視線。そんなことよりもデザート食う!と言いたげなドレークは、本日6品目となるデザート、フレッシュショートケーキを口に運んでいる。
自家製ベリーソースがやわらかいスポンジに溶け込み、アクセントのホイップクリームが甘みを引き立たせていた。ああ、コレは全部ドレークの感想だ



「……美味い?」
「…やぁらかい」


あーあー、口いっぱいに頬張っちゃって、可愛らしいな。
一体どこにこれだけの量のデザートが入って行っているんだか。オレは一枚目のショコラケーキでギブアップしたと言うのに



「…ナマエはもう食べないのか?」
「そんなに得意じゃないしな。お前見てるだけで一週間甘いの食べなくても良いぐらいだ」
「………それはおれには出来ない…」
「誰もドレークもやれとは言ってないだろ!しょんぼりするな」



フレッシュショートケーキも片付けたドレークはさぁ次だとメニューを手に取った。
まだ食べるつもりか。オレの視線のメッセージを悟ったんだろう、遠慮がちにメニューを閉じようとしたから慌ててその手を押し留める。別にお前に食べるのを止めろと言ったんじゃないから気にしなくていいぞ



「……次は何食べんの?」
「この"オレンジブリュレ"にしようかと…」


お、ちょっと爽やか系に行った
「分かった」ドレークの注文が決まったら店員を呼ぶのがオレの役目だ。口下手なのが災いしたなぁドレーク



「はい、追加のご注文ですか?」
「ええ オレンジブリュレ1つ」
「かしこまりましたぁ」



若いウェイトレスのお姉さんも「まだ食べるんだ…!」って言いたそうだった
メニューを元に戻して、口を潤す為に砂糖たっぷりのコーヒーを飲むドレークを見る



「 楽しいか?ドレーク」
「?ああ、とても楽しいが?」
「ふうん 良かったな」
「ナマエも、楽しいか?」
「当たり前だろ」



オレは甘いものを美味しそうに食べる恋人の姿を見るのが一番好きな男だぞ?



「オレンジブリュレ、うまい?」
「ああ サッパリとしたオレンジのブリュレとマンゴーソースが絶妙に絡んで…」

「 あ」
「一口でいいか?」
「うん」

「ほら」
「……あ、美味い」
「な?」







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