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「#幼馴染」のBL小説を読む
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変わらない終わらぬ二人






ウチのマンションより数十m先にあるゴミ捨て場にゴミ回収業者がやってくるのが午前7時
朝に弱いナマエが目覚め仕事に向かおうと動き出すのが最低でも10時
どんなバカでも、コレではゴミを捨てるのに間に合わないではないか!と気が付くだろう
ナマエが目をこじ開けて起きればいいだけの話だが、そんな事が出来れば苦労はしない
そこで取ったナマエの行動は、深夜0時にゴミ捨て場にゴミを棄てに行くと言うこと
本来それは許された行動ではない。咎められればナマエに分はない






「だから、黙ってりゃあ良いだけの話なんだ。分かるか?」
「……良心が痛む」
「そんな事言って、真面目実直なドレークさんだって一緒に棄てに行ってるじゃないですかやだー」
「………ついでだ。1つより2つゴミ袋があれば、他の者達も不審に思わないかもしれない」
「それだ。頭いいなドレーク」




同じマンションに住み部屋が隣同士の幼馴染
少女マンガでも在り来たりな設定がまかり通っているがナマエもドレークも男同士
そんなキラキラした設定を存分に生かすことはまあ無いが、
こうしてTシャツ、ジーパン、サンダル姿でお互い片手にゴミ袋、ナマエの左手には懐中電灯、そして今日は燃えないゴミの日
そんなラフな姿で、夜の街灯の少ない通りを歩いてゴミ捨て場を目指す

周りの民家でもう寝ている家もあるだろうから、声は出来るだけ抑え目で




「昔はドレーク、夜のこの道めっちゃ怖がって泣いてたよな」
「なっ!そ、そんな昔のことまだ覚えてるのかナマエ!!」
「あの時のドレークはまだこんなだったからなー、手ぇ繋いでよナマエ〜って言ってたな」
「ない、そんなこと断じてなかった。記憶を捏造するな」
「嘘ばっか言って。 あれからもう何年も経つのに、未だに街灯が取り付けられてないって町内会はホント働いてくれねぇよ」
「あぁ…確かに」
「町内会のオバサン達のお気に入りなんだから、ドレークが掛け合ってくれれば良いだろ」
「…そんなことが通るものか」
「夜道が暗くて怖くて泣いちゃいますから〜、とか言ってさ」
「ナマエ!!」
「ドレーク、静かに」
「…!」



曜日ごとに分けられたゴミ分別の看板が立つゴミ捨て場に到着
こっそり2つのゴミ袋を置いて、今日も業者の人に心の中で平謝り



「…まーでも、街灯が少ないから、こっからの星の眺めは都会とは言え中々のモノじゃないか?」
「それは言えるな。満天じゃないか」

「…あ、それもいいがドレーク 今日どこ行くよ」



ルールを破って深夜にナマエとドレークがゴミを出しに来たのは、
今日は二人そろって重なった休日を利用して、ナマエの運転する車に乗ってドライブに行かないかと予定を立てていたからにある
ナマエの言葉にドレークは顎を擦りながらむー…と頭を悩ませた。ナマエも考える。
行く時よりも倍ぐらいの時間を掛け帰り道を歩く。ノロノロと、ゆっくりと。静かな夜気が心地好い



「そうだな…この前は神社巡りだったな」
「ドレークの提案でな。あれは辛かったがまあまあ楽しかったな」
「今度はナマエの行きたい所へ行こう」
「そうか? じゃあな、海へ行かないか」
「海?…確かにもう夏だしな…」
「だろ?シーズン真っ盛りだ。水着も持って行くか」
「………泳ぐ気か」
「泳いじゃ駄目か」
「駄目とは言わないが」
「なら決定だろ」
「…しょうがない」



なーにがしょうがない、だ!大人ぶるなよドレークちゃん!
ナマエはドレークの顎をペチンと叩いて笑った。からかわれたドレークはナマエ!と声を小さく上げ、バタバタとドレークから逃げ出したナマエの後を追う
マンションの階段付近でドレークにTシャツの裾を掴まれ捕まったナマエは、はははっと声を上げて笑った。

ご近所さんに迷惑だと分かっていても、抑え切れなかった笑いだった







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