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ほれたはれたのルヴォワール




ああ懐かしい。
今ではこんなに屈強な男となったドレーク君だが、初めて出会った頃はこーんなに小さかったのに。 せがまれて作った木の剣を振りかざして、「海軍になるんだ!」「海賊はみんなぼくがつかまえるよ!」と意気込んでいた可愛らしい姿は今でも思い出せる。 微笑ましさに負けて、時間外に稽古もつけてあげていたものだ。激務に追われ疲れてはいたが、ドレーク君の可愛い顔を見るだけでその日一日の疲れが吹き飛んでしまうんだ。それに、僕は彼を10歳年の離れた弟のように思っていた。一人っ子だったからね、殊更に兄弟と言うものに憧れていたんだ。出来ることならすぐ傍で、彼の成長を見守り続けてやりたいなあと考えていたよ。でもそれも、叶わぬ望みだったんだがね。能力者の海賊に襲われ船は沈没。自分を含めた他の海兵、将校たちは複数人を残し全滅。あの時の指揮官は確か…、そう、ゼファー先生だったかな



そう言うわけで、自分は40と言う短い一生を海の上で終えたわけだから、その後の彼が如何様にして生きていったのかは知らなかったんだ。立派に海兵やっててくれていれば良いなあとは思ってたけど、元気で生きていてくれればそれでも良かった。ドレーク君は結構な甘えん坊だったから、そんな性格も少しは改善されたのかねぇとかね、考えてたんだよ。 だがしかしまあ、




「ものの見事に変わっていないなドレーク君」
「…?何がですか、ナマエさん」
「こう言うところだよ 私の胸はそれ程に抱き心地がいいかね」
「はい とても」
「 そうかい」



最初誰だか全く分からなかったことは内緒だとも。彼は一目で私を私だと分かったみたいだがね。彼が覚えていた最後の自分の姿と、今の自分の姿とが同じであったからかな。40を間近に控えた男のことなんて、もうとっくに忘れ去られているもんだと思っていたからさ



「立派になったね」
「ナマエさんのようになりたかったので」
「私のようにかい?ほう… それで、なれたのかな?」
「……いえ、おれには無理でした」
「そうかそうか。 しかし人は他人にはなれないのが当然だ。 そう顔を暗くしないでくれたまえ」
「…はいっ」




(貴方が生きていてくれたら、と何度も思いました。何度も何度も思いました。夢にだって見ました。貴方はいつもぼくに笑いかけてくれるんです。でも夢の中だけなのは、嫌でした。ごめんなさい、我侭を言います。どうして死んでしまったのですか。貴方と同じ場所に立ちたかったのに、道標がいなくなってしまっては道に迷うばかりです。手を引いてください。剣を教えてください。よくやったドレーク、と褒めてください。頂いた海兵帽ごと頭を撫でてください。どうしても、貴方には生きていてほしかった。だけど貴方を奪っていったのが海賊であるのなら、ぼくが取る行動はやはり1つです。海軍に入って、貴方の敵を捕らえること。もうそれしかありませんでしたから。年を重ね、ぼくはぼくなりに調べました。貴方の乗っていた船は、一体どこの、誰にやられたのか。真実を追う内にぼくは海軍に属せなくなりましたが…)




「……ナマエ、さん」
「なんだい?」

「おれはもう、子どもではなくなりました」
「ああ、そのようだね」

「もう、何処かへ行ったりしませんか」
「そうだな。行かないと誓おうじゃないか。不慮の事故さえ起きなければ、な」

「おれは、貴方の目に、どう映ってますか」
「……とても、魅力的に映っているよ」
「そう、ですか…」
「……参ってしまうぐらいにね」



時の流れをやはり実感してしまう。幼い肢体は無くなり、抱いてださいと強請る身体はすっかり引き締まった大人のソレをしている。抱きとめるのにも力を要することになってしまうとは
きっとその内、余裕がなくなってしまうのは此方の方ではないか?


見ろ、今だって彼の目はこんなに




「…ナマエさん、」
「……なんだいドレーク」


「おれを 抱いてくれますか」



ほうら、やはり な










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