13万企画小説 | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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じっとり、きみが愛しい





先に言おう。俺は変態ではない。性癖に異常があるわけでも、趣味趣向が人道外れてることなんてのもない。だがしかしどうしてかポートガス・エースにドキドキしてしまう。いややっぱり俺は変態なのか。ただの知り合い以上友達未満の、同じ男だと言うのに。




「ルフィに売られた喧嘩は兄貴のおれに売られたも同然。待ってろルフィ、おれが仕留めてくっから…」
「…待てまてポートガス、落ち着け」

「 お、ナマエじゃんか!久しぶりだなぁオイ!」
「お、おう…」



ちくしょう笑顔可愛いなくそっ! とか思ってんじゃねぇぞ俺!

弟のルフィ君が他校の生徒にイチャモンつけられたと憤慨してたのは何となく知っている。学校でも有名だからなこの兄弟は。だからと言って、兄貴のポートガスが飛び出して行くのはどうなんだろう。あの弟君はめちゃめちゃ喧嘩が強いから、わざわざポートガスまで飛び出してったら他校の生徒が可哀想って思う、って言うか



「いちいち危ないトコに首突っ込まなくても、いいと、思う」
「えー?そうか…?」
「ポ、ポートガスは、弟君を信用してないのか?」
「!してるぞ!」
「なら、黙って帰りを待ってやるのも、兄貴の役目だろ」
「なるほどな…お前、イイこと言うな!」



お前にも兄弟いんのか? いや、いないんだけどな。全部憶測で喋っただけなんだけど…

とりあえずポートガスが行ってしまうことはなくなったけど、だからと言ってこの二人きりの状況を有効的に活用することも出来ないわけで。なぜなら男同士だからだよ!どうしろってんだよバカ!



「ナマエ、さっきから顔顰めてどーした?スゴイことなってんぞ」
「な、なんでもねぇよ!顔ちけぇ!」
「あ、嫌だったか?わり、」
「嫌じゃないが!!」



「…い、嫌じゃ、ねぇのか へ、へー」
「ちが!ご、誤解すんなよマジで!」



ポートガスすんごい引いてる!気がする!しくった!何てこと口に出してんだ俺は!気持ち悪い!



「すまん忘れてくれじゃあなああああ」
「え!?お、おーいナマエ?」



三十六計逃げるが勝ちだ

走りながらこのドキドキが消えてくれりゃあいいけど、どうしてか全然消えてくれない 
高校で初めて会った時からこの調子だ
俺の心臓は、一体ポートガスにどんな目に遭わされたんだ

 いつ どこで




「――あああバカポートガスの野郎! どうやら好きらしいいいぃぃぃぃ………!!」



俺のこのバカ丸出しの叫び声は、心配になって後を追って来てくれていたポートガスの耳にしっかりと届いていたらしく、翌日になって「あ、あのよ おれも何かお前のこと前から気になってたって言うかさ…」と当人に告白されるまで俺は何のことだかさっぱり分からなかった




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