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君の目を合図とする




「ナマエ、お前最近恋でもしてんのか?」
「ブッ」



おいどうしてくれる。今日はいつもより奮発してフルーツオ・レ飲んでたんだぞ。思いっきり噴出しちまったじゃねぇか。お前の顔に液体噴射したことは謝らん、断じてだ



「…テ、メェ…!」
「オレは謝らん」
「じゃあせめて拭え!」
「ハンカチなぞ持ち合わせてない」
「学ランの袖があんじゃねぇか…」
「キッドの顔を拭うなんぞ袖が可哀想だろうが」
「今の状況ならおれが一番カワイソウだっつの!」



寧ろキッドにフルーツオ・レを買い直してもらいたいぐらいだ。恨むのなら、見た目に全然似合っていない台詞と疑問を抱いた自分を恨めばいい


「何でそんな事を訊いたんだ。寧ろ相手は誰だと思って、」
「A組のトラファルガーだと思ってる」
「ブッ」


残り汁までぶっ掛けてんじゃねぇよ!!
謝らん、オレは謝らんぞキッド。こっちだって何度も咽こんで気管がボロボロになってる。フルーツと牛乳の本来なら甘くまろやかな味わいが痰と絡んで微妙な味をしている。不味い


「………何故そんな見解を…」
「テメェが人と話してんのに明後日の方向向いてっからだろうが!その視線を追えばいっつもトラファルガーがいんだから勘繰ってもしょうがねぇだろ!」
「…………じ、」
「自覚がなかったとか言うんなら張り倒す」
「…自覚ならあった」
「余計タチわりぃ!」


自覚があるから、二度もお前の言葉に動揺しジュースを噴出したんだそれぐらい察しろ

そして自分でも、トラファルガー・ローのことを目で追ってしまう理由が分からないでいるから、誰それに指摘されたくなかったんだ。
不可解なことを何も知らない他人に突っつかれても仕方がない



「……視界に入れば見てるだけだ。それが何故恋したことになる」
「目でストーカーしてるってことだろ。堅物なナマエが珍しいこったな」
「キッド、お花畑なのは髪型だけにしてくれ」
「誰の頭と脳が花畑だってテメェ!!」



何が恋だ。ただ目で追っているだけだ。そして目が合うだけで、それ以外の何かが起きたわけじゃあるまいに。

それを伝えれば、恋愛経験豊富(自称)なキッドが言うには「目が合うってことはよ、アッチもナマエを見てるっつーことじゃねぇか。キモイ。お前ら両方死ね。特にナマエは全身の骨をおれに折られた末に死ね」とのこと。後半部分は興味がなくて耳に入って来なかったが、前半は何となく理解出来た。なるほど、目が合うという行動は一人では出来ないことだからな



「…で、何でテメェはトラファルガーを目で追ってんだよ。とっつかねぇ純粋な疑問だから答えろよ」
「なら仕方ない。 理由は分からない。前世の恋人だったんじゃないか?」
「純粋に訊いたおれがバカだった」
「ばーか」
「んだと!!」











「あっ!またE組のナマエがキャプテンにガンくれてっぞ!」
「ならシャチが"喧嘩なら買うぞ"ってメッセージを送り返してやれば?」
「ペンギンそれは目でか。無理だわ。おれの眼力にそんなパワーねぇわ」


それにE組のナマエってあのユースタス・キッドを舎弟につけてるらしいぞ!あの不良の頂点に君臨してる男をだぞ!手を出せばどんな危険が待ってるか!


シャチのその言葉を聞いてむかっ腹が立ったおれの腹はどうなってるのか。
"ガンくれて"来ているナマエの方に目を向ければ、あっちもこっちを見てきていた。傍らのユースタス・キッドに襟首掴まれて引き摺られている最中に



「…………」
「キャプテン、メッセージ送ってたんですか?」
「おいペンギン、目で言葉を伝えるなんて幾らキャプテンでも…」
「ああ」
「うおぉマジっすか!?」
「何て送ったんですか?"喧嘩なら買うぞ"?」


「……"お前は誰だ"…か?」


「…なるほど、まずは敵をよく知るところから始めるってことですか…」
「キャプテンさすが抜かりねぇ…」



アイツが何者か、ナマエと言う名にとても聞き覚えがあるこの感じは何なのか、お前は何者なのか
きっとおれが抱いているこれらの疑問は当人に訊いても答えられないだろう。向こうも全くワケが分からないままに視線を送ってきている顔をしている。
そしてその目を見つめ返すおれも、全く何も分かっていない
視線を送り続けていればいつかそれが分かるのか、それさえも分からないまま



「……今度声をかけてみるか」
「えぇっ、ナマエにですか!?」
「話せばアイツが何者なのか分かるんじゃないか?」
「なるほど!」



しかしアイツの周りには若干1名、邪魔虫がいる
それに対してが最も腹が立つ






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