「永遠を保証します」
*主人公→10歳(小学4年生)
*ロー →16歳(高校2年生)
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「はい、じゃぁ皆さん さようなら〜」
『さようなら〜!』
"帰りの会"って、本当無駄だと思う。何だろう帰りの会って。会なんかやってないで早く帰らせてあげろよって感じだ。
留意事項、とか小学校低学年性相手に難しい言葉使って、子ども達の大切な放課後と言う時間を少しずつ削っている事に教職員の方々は気が付くべきだ。
「ナマエくん、サッカーしよー!」「うん」
クラスの友人たちからの誘いに1つ返事で了承する。
失礼。中には遊び足りない子もいるようだ
履き潰した上履きをゲタ箱に押し込んで、
ランドセルを昇降口に固めてグラウンドで既にスタンバイしていたクラスメート達に近付く。
が、それよりも前に駆け出そうとしたナマエを呼び止める声があった
「――ナマエ!」
「あ」
ごめん、先に始めてて。タカシにそう告げてから、
ナマエはバタバタとグラウンド入り口の柵の向こうで手を振っている高校生の集団に駆け寄った
「みんな!」
「よ」
「こんちは〜ナマエさん!」
「ナマエさん、今からサッカーやるんでした?」
「うん」
三者三様に帽子を被った近所の高校生三人と、小学生一人
その内の二人からナマエが「さん」付けで呼ばれているのには勿論理由があった
「ナマエ、サッカー断って来い」
「なんでだ?」
「今からペンギンがファミレス連れてってくれるんだ」
「え?ペンギン君、いいのか?」
「ええ。バイト代入りましたんで」
「行きましょーよナマエさん!」
「分かった、いく!ランドセルとってくるな」
――おーい!やっぱりオレ帰るー! えー!?なんでー!
大声で友人たちにごめん!と言いながらランドセルを取りに行っているナマエの後姿をローはじーっと見ている。その様子に傍らの二人はやはりニヤニヤとしていた。
「ちぃっちゃいナマエさんも新鮮っすね!」
「だろ?」
「おれとシャチは高校に上がってからキャプテンやナマエさんと再会しましたし」
「お二人はいつから?」
「ナマエがおぎゃぁって生まれた時から知ってる」
「わぁお運命!」
「ディステニー!」
運命!ディステニー!運命!と喧しく騒ぎ立てる二人の後頭部を叩いたところで、ナマエが戻ってきた
「クラスの奴らとの話はついたか?」
「明日ゴールキーパーするって約束でかんべんしてもらった」
「んん?分かってないっすね、その子。サッカーで一番カッコイイのはMFじゃなくてGKっしょ!」
「うん、オレもそう思う」
「ですよねー!」
長身のローやペンギン達の腰元までが精々、と言った身長のナマエに合わせて顔を寄せるシャチはサッカーオタクだから仕方ない。
しかしコッチも構え、とローはナマエが背中に背負っていた黒いランドセルを抜き取ってペンギンに手渡し、「なんだ?」と顔を上げ訊ねてきたナマエの体を持ち上げ肩に乗せた
「…たかい!」
「あ、いいなー肩車」
「…て言うか小学生のランドセルって、こんな重みでしたっけ…?それにちょっとボロ…」
「しっかり持ってろよペンギン」
「アイ…」
わー!わー!と上ではしゃぐナマエにローは気を良くした
大体、今ナマエが使っているランドセルはローが使っていたもので、所謂お下がりだ。ボロくて当然。しかし大事に使われているらしく、前の持ち主として鼻がたかい
「ナマエ、何食う?」
「ローはなに食べたいんだ?」
「ナマエが先に言えよ」
「ローが先に言えって。それきいてオレも決めるから」
「ナマエさん、ちっちゃくても男前だな」「だな」
ペンギン君、ほんとーに何たのんでもいいのか?肩に揺られながら隣のペンギンに問いかけて来たナマエにペンギンは良いですよと頷いた。「じゃあロー、カキ氷はんぶん分けしよう」「イイな。"あーん"してやるよ」「ローがか?」「…………あぁ」変化球だったみたいだ