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「#幼馴染」のBL小説を読む
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つづきゆく ひび


私の主人は"しがない釣り人"をしています。この形容詞は主人が付けろと言うのでつけました。

でも私はそうは思わないのです。
確かに主人はいつもコイキングを釣ってばかりですが、
何も釣れずにいるよりはマシだと思うのです。



主人を背中の甲羅に乗せて日がな一日を優雅に過ごす。

邪魔にならないようにゆっくりと波間を掻き分けて、
時には歌を歌ってポケモンたちを誘き寄せたりします。

そうすると主人はいつも私に「ありがとうな、ラプラス」と言ってくれるから、
それをもっと聞きたいなぁと思うのです。



「ラプラス、今日はもう引き返そうか」


今日もまた、コイキングしか釣れなかった主人が言う。
はいご主人さま。あなたが戻ると仰るのなら、私はすぐに鼻先を戻しましょう。


「ラプラス、また明日も来ような」


はい、勿論ですご主人さま また明日も来ましょうね。


「今日もまた釣れなかったなぁ」


別にいいではないですか。

たとえコイキングしか釣れなくったって、

食べるものが日に日に少なくなって行ってたって、


ラプラスはご主人さまがいてくれればそれでいいんですもの


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