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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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ディノアス










オレは『ゴーレム』だ。
だが、人間が持つ"感情"と呼ばれるモノのことは理解できている。

ライルのように「怒る」ことも、
リュミールのように「笑う」ことも、
花梨のように「呆れる」ことも、
ゴルバンのように「見守る」ことも、全て出来る。全て可能だ。

だが分からないことは、
何故そうやって、ナマエがオレを見て「泣いている」のかだ。


「死なないで」とはなんだ。
そもそもオレは、厳密に言えば「生きている」のではない。「動いている」と言うのが正しい。なのでオレは死ぬのではなく、ただ動かなくなるだけだ。

「行かないで」とは分からない。
オレはどこにも行くつもりなどない。ナマエが望む限り、オレはナマエの傍にいると誓った。だから安心するといい。オレはナマエから決して離れない。

「好きなんです」
 ほんとうか。信じていいのか その言葉を。
ナマエは、ゴーレムであるオレのことを好きでいてくれているのか。ああ、なんていうことだ――




今からオレは 眠りに就くというのに
相変わらず、タイミングを掴むのが下手くそだな、 ナマエは








これは長い長い夢の続きだと思っていた。

ライルが縮んだと思えば、それはライルの息子であった。
少し大きくなったライルの隣で微笑んでいる女性は、髪を切ったリュミールだった。
いつか見た母親のように美しく成長していた花梨の隣には、一角を生やしている男、ユークルフが立っている。
変わらぬ笑顔で立つゴルバンの隣では、いつもの表情のルナティエがいた。

『遅かったわね』と通信が入る。
『アンタが眠りについてから、あの子、ずっと泣いてたんだから』
あの子、 ルナティエがあの子と呼ぶ者、ああそうだ オレには、
とても大切に思っている、  女の子がいたのだ。





「ディノアス…!」


――ひどく懐かしい声だ。

泣き腫らしたような赤い眼が、じっとオレを見つめて来る。
喜びと感動で感情が綯い交ぜになったまま、そこから動けずにいる彼女の背中をルナティエが軽く押した。

『ヒロインならここで、目覚めたゴーレムを抱きしめに行くものよ』

彼女が戸惑いを見せている。 手が、左右あちこちに動いている。
 なんという目覚めだろう。彼女に、抱きしめてもらえるのか。
 この硬く、冷たい、鋼鉄の身体を。彼女に、





『………、…ナマエ、…に……』





ほら、ムッツリ野郎が起きたわよ。


ルナティエの言葉を聞くよりも先に、 ナマエがオレを抱きしめた。
「おかえりなさいディノアス!」




――ああ、






『……10年経っても、 お前が一番キレイだな ナマエ』





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